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従業員のTSSビザスポンサー手続きに関する注意点

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ビザ

Q

先月ヒューマン・リソース(HR)マネージャーに就任しました。就任したばかりで、ビザのスポンサー手続きに慣れておりません。会社が定期的に社員のTSS(Temporary Skill Shortage)ビザのスポンサーとなるための注意点について教えてください。(40代男性=会社員)

A

 定期的にTSSビザのスポンサーをされているということですので、スポンサーシップの承認は既にお持ちだと見受けられます。現行のスポンサーシップの下、ノミネーション申請(ポジションの審査)及びビザ申請(ビザ申請者の資格審査)を行う場合、審査官は下記の手順で査定をするものとご理解下さい。

  1. ビザ申請者が豪州で担当する職務内容を確認
  2. 職務内容に基づいて、ANZSCO(職業ディクショナリー)から最近似の職種を選定。申請職種と同一であることを確認
  3. 選定された最近似職種がビザ申請可能職種リストに掲載されているかを確認
  4. 支給予定の給与及び休暇などの諸条件が「同様のポジションに就く豪州国籍者/永住者」に支給される給与及び休暇などの諸条件と同等以上であるか否かについて確認
  5. 申請ポジションが「Genuine」と見なされるかについて査定(本コラム2019年3月号参照)
  6. ビザの申請者が申請職種に要求される学歴、職歴、英語能力を有しているかを査定
  7. ビザの申請者が過去5年間に2年間フルタイム分の関連職歴を有しているかについて査定
  8. 申請者が「Genuine Temporary Entrant(GTE)」とみなされるか否かを査定
  9. ビザの申請者及び帯同家族に重大な犯歴や健康問題がないかを確認

注意点

●職種
最近似の職種が申請可能職種リストに掲載されていない場合、申請はできません。例えば、ビザ申請者の豪州における予定職務が「Plan, Organise, Direct, Control and Coordinate Policy Advice and Strategic Planning within Organisations」であった場合、ANZSCO上で最近似の職種は「Policy and Planning Manager」になりますが、この職種は現在ビザ申請可能職種リストに掲載されていないため、申請不可となります。ビザ申請可能職種リストには現在豪州で不足していると見なされる職種のみ掲載されています。

●Genuine Position
業種、事業規模などの観点から「勤務予定先に申請ポジションが必要と認められない」と審査官が判断した場合は却下されます。またスポンサー企業に資力がないとみなされた場合も、「ビザ申請者に保証した給与を支払えるはずがない」として却下されることがあり得ます。

●従業員構成比
日本に本社を有する会社による申請ではなく、かつ豪国籍者、永住者の従業員数が極めて少ない場合は注意が必要です。

●英語能力
海外の企業から豪州の関連会社に転勤の場合でかつ年間給与及び支給額の確定した手当の総額が9万6,400ドル以上の場合は免除されます。

●Genuine Temporary Entrant(GTE)
テンポラリー・ビザでの長期滞在を抑制するためのルールです。日本に本社を有する会社からの赴任者でない場合は特に、482ビザのSTSOL職で4年滞在後の申請について厳しく審査される可能性があると思われます。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せ頂いたご相談は、紙面に掲載させて頂く場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


高畠英明(たかはた ひであき)
Staff Solutions Australia Pty Ltd

九州大学法学部及びNSW大学法学部卒業後、2002年NSW州の弁護士資格を取得。シドニーの法律事務所で企業法務に従事の後、査証手続きに関する国家資格も取得。大手企業を主要顧客とするビザ専門法律事務所や監査法人の査証部門における勤務を含む15年以上の経験を生かし、アドバイスを提供する(MARN03 25064)

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