辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじと共に注目の新作を紹介!レーティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。
アダムス・ファミリー
The Addams Family
コメディー、ホラー、アニメ/PG 12月5日公開予定 期待度★★★
実写版のテレビ・ドラマや映画として一世を風靡した『アダムス・ファミリー』が、アニメになって帰ってきた! おばけのような奇妙なアダムス一家は、今作で新居へ引っ越し、相変わらずの奇怪でコミカルな日常を繰り広げる。目覚ましのアラーム代わりにギロチンを使ったり、ペットの猛獣を町で散歩させたりと、個性と常識の枠を超越した彼らは果たして隣人たちと親しくなれるのか……。 声優陣には俳優のシャーリーズ・セロン、クロエ・グレース・モレッツ、歌手のベット・ミドラーなど豪華な面々がラインアップされ、ストーリーやアニメーションと併せて期待十分。実写版のテーマ・ソングは今作でも健在で、思わず一緒に指を鳴らしたくなるかも。
ポートレート・オブ・レディ・オン・ファイア
Portrait of a Lady on Fire編集部員がお薦め !
ドラマ、ロマンス/TBC 12月26日公開予定 期待度★★★★★
今年のカンヌ国際映画祭の最優秀賞候補の1作として注目され、ベスト脚本賞、クィア・パルム賞などを受賞したフランスの歴史ドラマ。18世紀末、若き女流画家マリアンヌは、自殺した妹の婚約者との結婚を間近に控えたエロイーズという女性の肖像画制作を依頼され、ブルターニュ地方の離島へ赴く。エロイーズは結婚も肖像画のモデルになることも拒むが、次第にマリアンヌとの間に愛を見出していく……。 不自由な慣習やジェンダーの呪縛が常識とされていた時代の女性たちを克明に描き出したのは、フランスの脚本家・監督で、自身も同性のパートナーを持つセリーヌ・シアマ。マリアンヌ役をノエミ・メルラン、エロイーズ役はアデル・エネルが務めた。
ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
Knives Out
ドラマ、スリラー/M 公開中 期待度★★★★
公開直後から既に「名作ミステリー」の呼び声も高い同作。舞台は現代ニューヨークの豪邸、著名ミステリー作家が85歳の誕生日パーティーの翌日に遺体で発見される。匿名の捜査依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランは、当日居合わせた資産家や家政婦など全員が容疑者という状況の中、家族の謎を解き明かしていく。キャストには『007』シリーズのダニエル・クレイグ、『アベンジャーズ』キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスなど豪華メンバーが集結した。脚本・監督は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)のライアン・ジョンソン。ミステリーの女王アガサ・クリスティーの大ファンを公言する同監督のオリジナル脚本だけに、本格派ミステリーとしての期待は十分。
ジョジョ・ラビット
Jojo Rabbit
コメディー、ドラマ/M 12月26日公開予定 期待度★★★★★
ユーモラスで情熱的な作風で知られるタイカ・ワイティティ監督の最新作。舞台は第2次世界大戦下のドイツ、主人公のジョジョは、兵士になるための訓練でウサギを殺すことができず、教官から「臆病なウサギ(ジョジョ・ラビット)」と呼ばれてしまう心優しい10歳の男の子。彼はワイティティ監督自らが演じるアドルフ・ヒトラーを空想上の友人とし、ヒトラーの助けを借りながら訓練に励んでいた。ある日、彼の母がユダヤ人の少女を屋根裏部屋にかくまっていることを知り、彼の世界観はひっくり返ってしまう。そしてジョジョは盲目のナショナリズムに立ち向かう。戦時下の「寛容」と「理解」を失った時代に生きる人びとの生活をユーモアたっぷりに描くヒューマンコメディー。