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隠しカメラで大手ホテル・チェーンの人種差別撮影

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ABC放送「Background Briefing」の調査報道

 ABC放送の番組「Background Briefing」は、隠密調査の結果、北部準州(NT)のアリス・スプリングスにある国内最大手ホテル・チェーンの経営するホテルで組織的な宿泊客人種差別が行われることを突き止めたと報道している。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 ABC放送が入手した電子メールは、従業員に対して、「コミュニティから来た宿泊客には特別室を提供するよう」指示している。「コミュニティから来た」というのは地元の人々の言い回しで、町外から来たアボリジニの人々を意味しており、また、特別室は他の部屋より質の落ちる部屋を意味している。

 問題のホテル、アイビス・スタイルズ・アリス・スプリングス・オアシスは、アリス・スプリングスの病院に近く、遠隔地から入院している患者の家族が泊まることがおおいとされている。ホテルの従業員の一人は、匿名を条件にABC放送に人種差別の慣行は何百回となく行われており、「常態化している」と語っている。

 ABC放送が入手した電子メールは2018年6月の日付になっており、「病院のリネンは部屋番号85番から90番までに通すこと。これらの部屋はコミュニティ・ルームと呼ばれ、コミュニティからの客はそこに限定する。レセプションの女性たちは、客が到着した際には積極的に客をそちらに案内するよう心がけてもらいたい」となっている。

 ホテルの内部告発者の証言を確認するため、今年初め、ABC放送取材班はホテルにまったく同じ2つの宿泊予約を行った。ただし、一つのグループはアボリジニ、一つのグループは非先住民族で、それぞれが同じ$129の宿泊費を請求されている。しかし、アボリジニの宿泊グループは、電子メールで「コミュニティ・ルーム」と呼ばれる部屋番号86に通されている。そこでABC取材チームは、ニワトリの骨、汚れたリネン、前の泊まり客の衣類、パチオのゴミには割れたガラス、窓や壁には乾いたシミ跡、部屋には腐ったような臭いが漂い、壁の羽目板には電線がむき出しのままになっているのを確認しており、撮影している。非アボリジニ・グループが通された部屋にはそういう問題は一切なかった。

 ABC放送は、アイビスの親会社のアコー社は有名ホテルをいくつも擁する国内最大手企業で世界でも第4位に並んでいる。ABC放送の問い合わせに対して、アコー社は、「従業員や客から人種差別の苦情を受けたことがない」と答えており、アリス・スプリングスのアイビス・スタイルズのジョ・マッケンジー・マネージャも、アボリジニ客を差別したことはないと否定している。

 連邦政府のナイジェル・スカリオン先住民族問題相は、「それが事実とすると深刻な問題だ。綿密に調査する」と発言している。また、北部オーストラリア・アボリジニ法律局のソフィー・トレビット弁護士は、「アボリジニ宿泊客を差別するという行為はNT全域で起きている。訴えても手間の割に賠償が乏しいため、訴えないというバーミューダ・トライアングルになっている」と語っている。
■ソース
Undercover recordings capture hotel staff racially segregating guests

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