花のある生活「ブッシュ・フラワーのあれこれ」

 花のある生活─ flower in life ─

第4回:ブッシュ・フラワーのあれこれ

パピルスとレッド・ムーン、対比を意識してブッシュ・フラワーを生ける
パピルスとレッド・ムーン、対比を意識してブッシュ・フラワーを生ける

こんにちは。生け花講師をしていますYoshimiです。

オーストラリアの花と言えば、プロテアやバンクシア、ボトルブラシュなど独特な形をした物がたくさんあります。国花になっているゴールデンワトル(ミモザと呼ばれているもの)や、ニュー・サウス・ウェールズ州の州花ワラタもブッシュ・フラワーです。オーストラリアは他の大陸には見られない個性的で力強い原生の花がたくさんあり、これらはブッシュ・フラワーと呼ばれています。

先日、花市場で面白い2つの花材に出合いました。1つはパピルスと言ってカヤツリグサの種類に属する植物です。ブッシュ・ウォークをするとしばしば出合うことのあるこの植物は、高さが2メートル近くにも及びます。古代、紙の原点である筆記媒体がパピルス(Papyrus)から作られていたらしく、紙を意味する英語の「Paper」やフランス語の「Papier」などの由来ともなっているようです。2つ目は「Red Moon」。12月ごろに咲くクリスマス・ブッシュに似ていますが少し違っていて、写真の赤い花に見える部分は葉で、よく目を凝らすと鉄砲百合のような小さな白い花が付いています。この花は名前の通り丸くて真紅の色をしており、オーストラリアの夜空を煌々と輝く赤い満月のように奇麗な花です。

折れた花を集めミルク・ピッチャーに入れた物
折れた花を集めミルク・ピッチャーに入れた物

上の写真は、黒陶器花器にパピルスとレッド・ムーンを生けてみました。柳のように枝垂れているパピルスの流れを生かし、勢い良く奔放なタッチで左右を対照にすることのないように生け込みます。生け花においては、あえてバランスを崩した中で均衡を取るという考え方があります。ブッシュ・フラワーを生けるとなると、大変難しいことがあります。花を生ける時には、草木のどこが表かを見極めてそちらを正面にしなければいけません。ヒマワリやガーベラは一目瞭然ですが、桜や紅葉など枝物の表裏は、花の付き方や葉の向きによって選別します。長年お稽古に来られている方でもなかなか草木の表裏の見極めができないのがブッシュの花材です。何度グルグル回してみても、見付けにくいですが、しっかり見極めていけば見付かります。正面を意識したりバランスを考え始めると、生け花は敷居が高く感じてしまいますが、ふと目に留まった葉っぱでも、緑の濃淡や葉の大小を意識して対照的に取り合せるだけでも、バランス感覚は自然と磨かれていきます。自宅にある一輪挿しなどに、ご自身で少しアイデアを加えたものを飾って眺めていると、とても癒されますので、一度試してみてくださいね。


Yoshimi
草月流華道講師。幼少の頃から花を嗜む。学生の頃、本格的に活動を始め大阪高島屋に出展。兵庫県議会公館迎え花を担当。シンガポール駐在中に趣味の油絵といけばな展をシンガポール高島屋で行う。現在はチャッツウッド駅前で華道教室フラワー・イン・ライフ(www.7elements.me)を開講

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