NSW州会計検査院長、政府の助成金運用酷評
2月8日付ABC放送(電子版)は、グラディス・ベレジクリアン保守連合NSW州政権の地域振興助成金制度運用を調査していた州会計検査院長が、その報告書で同政権の助成金交付団体選定の作業が欠陥だらけで公正さを全く欠如していたと酷評したことを伝えている。
助成金申請が認められたプロジェクトについても申請を認めた理由がほとんど記録として残されていなかった。このような会計検査院長の判断だが、
この報告書で、マーガレット・クロフォード会計検査院長は、コミュニティ活動を支援するStronger Communities Fundの2億5,000万ドルの助成金のうち、96%が保守連合議員選出選挙区に振り向けられていたとしている。
労働党が助成金問題を追及した時には、ベレジクリアン州首相は、前回選挙戦に向けて、助成金交付先を保守連合議員の議席を確保するために選んだことを認め、「違法ではない。誰でもやっている」と発言して政界の腐敗ぶりをさらけ出している。
報告の中で、クロフォード院長は、「制度のガイドラインは、助成金交付プロジェクト選定にあたって偏りや主観的な評価を避けるための情報が欠けている」と述べ、さらに、「そのため、制度そのものが保守連合政権の政略目的に使われることになった」としている。
さらに、報告書は、助成金交付プロジェクトの選定にあたってはベレジクリアン州首相、ジョン・バリラロ州副首相、それに地方自治体担当相の3人で決める混乱状態を経て、決定結果は大臣職員が地方自治体局に電子メールで通知し、同局が助成金交付の事務手続きをする運びになっていた。
クロフォード院長は、「この電子メールには交付決定理由などは何も記載されておらず、助成金は何の質疑も経ず、また決定理由の記録もなかった」と報告書に書いている。
この助成金交付先選定は地方自治体担当大臣の管掌だが、実際には大臣は交付24プロジェクトのうち2プロジェクトの認可を決めただけで他の22プロジェクトがすべてベレジクリアン首相とバリラロ副首相の専断だった。
クロフォード院長は、「交付プロジェクト選定にあたって情報がまったくなく、また公式手続きも完全に欠けているため、助成金交付にあたって政府の説明責任も透明性もすべて脱落していた」と述べている。
さらに、2020年10月の議会調査委員会で、ベレジクリアン州首相の事務所で選定関係書類をすべてシュレッダーにかけて廃棄しており、さらにStronger Communities Fund関係のデジタル文書もすべて抹消していたことが証言された。また、ベレジクリアン州首相職員が、「州首相がプロジェクトの認可と決裁を行った」と証言している。
■ソース
NSW auditor-general publishes damning report into government grant scheme at centre of pork barrelling claims