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サプライズの0.25ポイント利上げ オーストラリア政策金利3.85%に

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「インフレは依然高すぎる」とロウRBA総裁

据え置きとの予想に反して、政策金利を0.25ポイント引き上げて3.85%とした豪準備銀(RBA)のフィリップ・ロウ総裁(Photo: Reserve Bank of Australia)

 オーストラリアの中央銀行、豪準備銀(RBA)は2日、月例の理事会で政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.85%にすることを決定した。市場参加者や主なエコノミストは据え置きを予想しており、サプライズとなった。

 フィリップ・ロウRBA総裁は会合後に発表した声明で「オーストラリアのインフレは峠を越えた」と言明した上で「7%(3月期の消費者物価指数=CPI)は依然として高すぎ、インフレ目標(2〜3%)に戻るにはしばらく時間がかかる」と述べ、インフレを鎮静化させるにはもう一段の金融引き締めが必要だとの考えを示した。

 RBAは2022年5月以降10会合連続という前例のないペースで利上げを続け、引き上げ幅は3.5ポイントに達していたが、4月の会合では3.6%で据え置いていた。ロウ総裁はインフレの現状について「最新のデータは歓迎すべきインフレの鈍化を示しているが、インフレが目標の上限まで下がるには2年程度かかるとの見通しに変わりはない」と述べた。モノのインフレ減速が鮮明になっているものの、サービスのインフレはまだ非常に高水準で範囲も広く、再び上昇する懸念があると指摘。労働生産性が引き続き伸びていない一方で、労働コストも勢いよく上昇しているとした。

 今後の金融政策については「妥当な時間内にインフレを目標に戻すためには、一定の金融引き締め(単数形)は必要になるかもしれないが、経済とインフレが今後どう進展するかによって決まる」(ロウ総裁)との展望を示した。4月の声明では「一定の金融引き締め(単数形)が十分に必要になるかもしれないと理事会は予想している」としていたが、微妙にハト派寄りの表現に改めた格好だ。

 オーストラリアのエコノミストの間では、5月の会合以降、今回の金融引き締め局面での利上げは打ち止めになるとの観測が強い。今年後半にかけては、利上げの副作用を背景とした個人消費の鈍化などによる経済成長の減速が想定されている。景気の冷え込みが顕在化してくれば、今後は利下げのタイミングも焦点となってくる。

 一方、オーストラリア証券取引所(ASX)の主要株価指数「ASX/S&P200」は利上げの発表があった同日午後2時30分を境に急落した。午後3時20分の時点で7.253と前日終値と比べて1.11%安い水準で推移している。市場のコンセンサスに反した利上げのニュースを嫌気した。

 外国為替市場の豪ドルの対米ドルレートは、午後3時20分の時点で1豪ドル=0.6705米ドル付近と利上げ発表前と比べて0.07米セント前後高い水準となっている。

■ソース
Statement by Philip Lowe, Governor: Monetary Policy Decision(Reserve Bank of Australia)

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