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必読!タックス・リターン徹底ガイド 2021

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タックス・リターン
徹底ガイド
2021

オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年の6月30日までとなります。7月を迎え、会計年度が変わるとタックス・リターンの申告が開始されます。本特集では、2020/21(2021年度)のタックス・リターンの内容に加え、オーストラリア国税局(ATO)の動向について解説します。
取材協力・文=甘利会計事務所/甘利知子さん(登録税理士・公認会計士)

■目次

タックス・リターンとは

日本でいう年末調整や確定申告に当たります。日本の確定申告は、自営業や投資家のもので、給与所得の人は会社の年末調整で済むため、確定申告は馴染みのなかった人が多いと思います。日本では所得の種類によって税率が違い、保険料なども別払いですが、オーストラリアでは個人の全ての収入を一度にまとめてタックス・リターンで申告し、そこから税金は健康保険料も含めて一緒に計算されます。収入のある人はほとんどの場合タックス・リターンをしなければいけません。以下、1つでも当てはまる場合はタックス・リターンの義務が生じます(全ては挙げられないため、主なものです)。

  • オーストラリアの居住者で収入から(金額にかかわらず)源泉徴収されているものがあった
  • インストールメントという税金の前払いをしていた
  • 年間の収入が1万8,200ドルを超えた(年金受給者の場合は別額)
  • 18歳未満で、416ドル以上の不労働収入があった(親が子供名義で持っている投資)
  • 年度の途中でオーストラリアの居住者になった、または居住者でなくなった
  • 事業を行っている
  • 株・投資ファンドから収入があった

タックス・リターンの義務がない場合は「Non Lodgement Advice」という申告不要である届けを出します。それはご自身で「MyGov」のサイトから届ける、オーストラリア国税局(ATO)のウェブサイトから用紙をダウンロードして郵便で送る、または登録税理士(タックス・エージェント)に依頼して提出することができます。

ワーキング・ホリデー(以下、WH)・ビザで、年間収入が4万5,000ドル未満の雇用収入のみで15%の源泉徴収がされている場合は、タックス・リターンの結果プラス・マイナス0ドルなので、タックス・リターン及び申告不要届を出す義務はありません。ただし、収入が4万5,000ドルを超えている場合、源泉徴収のない収入(ビジネスなど)がある場合は、申告義務が発生します。

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タックス・リターンの仕組み

リターンという言葉を「戻る」という意味で捉えがちですが、これは戻るという意味ではなく、「申告をする」という意味です。まず、会計年度中の課税対象となる収入(一部例外がありますがほとんどの収入)を全て合計します。そこから計上できる経費を差し引いたものが課税所得になります。

総収入経費課税所得(Taxable Income)

課税所得から割り出した税額が、既に源泉徴収などで納めてある税金の額より少なければ差額を戻してもらうことになります。一方、既に払っている金額よりも割り出した税額が多くなると請求書がきて不足分を納税することになります。

課税所得から割り出した税金源泉徴収された税金差額戻り(Refund)

課税所得から割り出した税金源泉徴収された税金差額支払い

●収入と経費

<総収入>
  • 雇用収入、個人・パートナーシップ事業収入
  • 雇用先からの社株など特典を受けた場合
  • 銀行口座に付いた利子、株の配当、投資収入、海外収入(※1)など
  • 不動産や株を売った時に出るキャピタルゲイン・ロス(キャピタルゲイン・ロスの計算には独特のルールがあるため要注意)
  • 為替差益・損(ケースによる)

(※1)海外収入は、永住者・市民の場合、世界全ての収入を申告する必要がありますので、日本で受け取っている年金の計上や、海外のキャピタルゲインの計上を忘れないようにしてください。一方、一時滞在ビザの場合は、オーストラリアとつながりのある就労による収入のみの申告となります。

現在、オンライン化によりATOは納税者の収入をかなり把握しています。雇用収入は雇用主によるSTPの届けがほぼオンタイムの情報を持ち、雇用主からのスーパーの支払い状況、ABN収入も業界により届けが出され、銀行利息、株の配当、キャピタルゲインにかかわる取引記録、海外からの送金記録、「EBay」や「AirBNB」などのシェア・エコノミーの情報など、情報把握範囲は日々広がっています。

タックスリターンに必要な収入の情報は、ほとんどATOが把握している一方、抜けもあり、ATOのデータのみを頼りに申告を進めた結果、申告漏れとなり、後日ATOより指摘される場合もあります。申告漏れが出やすいのは、銀行利息、株の配当、キャピタルゲイン、海外収入などです。

<経費>

収入を得るための必要経費は仕事に必要かつ実際に出費した(雇用主から精算されていない)こと、レシートなどの証明が要ります。一般必要経費の合計額が300ドルを超える場合、またはそれ以外の経費については全てのレシートをとっておく必要があります。データとして保存可。レシートの入手が困難なものに関しては、ダイアリー記帳でも認められる場合があります。それらは申告時に提出する必要はありませんが、後日監査が入った時に証拠として出すことになります。また、1年以上使用でき、値段が単品で300ドルを超えるもの(道具類・コンピュータなど)は、一度で経費として落とさずに、何年かにわたり減価償却させることになります。

必要経費とは、現在得ている収入を維持するため、技術を向上させて収入を上げるための出費で、仕事を得るためのものは認められません。つまり、新しい仕事を得るための面接の費用は不可。教育費では、将来の仕事のためのもの、ビザを取るためのものは不可です。また、現在同じ系列の仕事でも、レベルのはっきり分かれている職種では、ステップ・アップの資格を得るための勉強も認められていません(例えば、現アシスタントナースからレジスターナースになる勉強の費用)。

【計上可能な必要経費の例】
  • 仕事関連の書籍、データなど
  • 文房具
  • 道具
  • ユニフォーム(シェフなどの特殊な物、会社指定のロゴ入りの物など)
  • ユニフォームの洗濯代(自宅で洗濯の場合は、単独洗いが1回1ドル、私服と一緒に洗うと0.5ドル、最高150ドルまで証拠がなくても計上可、しかし計算の根拠は必要
  • ユニフォームのドライ・クリーニング代
  • 安全靴
  • 携帯電話やインターネット代など(仕事だけではなく私用に使う場合、使用割合を計算して計上)
  • 仕事で使う車の経費
  • 仕事で必要だった交通費
  • 現在の仕事に係る教育費用
【その他、経費扱いできるもの】
  • ATOから非税認可(Deductible Gift Recipient)されている慈善団体への寄付
  • スクール・ビルディングファンドへの寄付
  • 税金申告や相談のための税理士費用、その際の交通費
【経費として認められないもの】
  • スーツなど普通の仕事着、色指定などはあっても一般的に着れる服
  • 仕事用でも特殊性のない一般の靴
  • 通勤費
  • 接待費

●手当て(Allowance)と精算(Reimburse)の違い

雇用主から車の手当てや、費用の精算をしてもらう場合があります。精算は、発生した実費を戻してもらうもの、手当ては一定額を費用の足しにもらう場合が多いと思われます。

手当は通常「Car allowance」「Travel allowance」など、給与にプラスで課税所得として追加されているので、経費として実費を計上することができます。一方、精算してもらったものは雇用主が経費として計上し、個人の収入には入れていないので、被雇用者は経費計上はできません。

●被雇用者のコロナ禍の自宅勤務にかかわる経費(今回の20/21年申告は丸1年対象)

Covid-19による自宅勤務にかかわる経費として、光熱費、通信費、印刷代、文房具、オフィス機器、オフィス家具などが挙げられますが、それについて経費計上するには、3通りあります。

  • 実費申請光熱費や通信費については実際に発生した仕事分を計算して計上しますが、どういう根拠で仕事分とプライベート分を分けたのかの証明が必要となります。
  • Covid-19簡素化計算自宅で働いた時間数を合計し、1時間80セントで計算。この計算式には、光熱費、通信費、オフィス機器やオフィス家具の減価償却費が含まれ、機器類などの大きな出費がない場合に向きます。
  • 従来式時間計上自宅で働いた時間数に、1時間52セントで計算。この計算式に含まれるのは、光熱費とオフィス家具の減価償却費なので、通信費や機器類を別計上したい場合に向きます。
【コロナ禍の自宅勤務で計上できないもの】
  • 自宅のレント・維持費
  • 飲食費(昼食、飲み物、お菓子など)
  • 子どもの保育、教育費
  • 雇用主より精算されたもの
  • 昼食時間など、仕事以外の時間数勤務時間は、タイムシート、ロスター、日誌、または類似の記録として証拠を残すことが必要です。

●個人事業主・パートナーシップ(法人・トラストを除く)

収入マイナス経費が課税所得です。ビジネスとして売り上げと経費を計上して収支を出します。スモール・ビジネスには「Small business income tax offset」という、最大1,000ドルまでの税控除があります。更にその他の収入を加えて課税所得の合計を出して、税金を計算します。

ビジネスの場合、個人とは減価償却の扱いが違います。現在ATOの指定する中小ビジネスに該当する場合(20/21は年度途中でルールが変わっているので要注意)、資産計上して減価償却をするべきものに対して、一度に経費で落とすできるようになっています。それはコロナ禍のビジネス・サポートの一環で2023年まで続く予定です。前年度に納税の義務があったビジネス・オーナーの場合、タックス・リターンを出した後に次年度のタックスも支払い見込み有りとみなされ、インストールメントという予定納税が始まります。予定納税の目的は源泉徴収と同じように、発生ベースで税金を納めてもらうことです。その意味で、ビジネス・オーナー以外でも、投資収入により納税している人は予定納税を求られます。

●税金の計算

税金の計算は以下の表になります。19/20から減税措置として、低所得者控除に加え、中低所得所控除が導入されました。20/21もその続きで、中所得者中心の税金が下がり、21/22では中高所得者中心に税金が下がる見込みです。過去のレートをご存じの場合、下記の表を見て頂くと分かりますが、19%のグループと32.5%のグループの枠が今までに比べて上がっています。

総収入-経費=課税所得(A)
2021年度のタックス計算(12カ月居住者の場合)
課税所得(A)税率税計算
$1~$18,2000%$0
$18,201~$45,00019%(A-$18,200)×0.19
$45,001~$120,00032.5%(A-$45,000)×0.325+$5,092
$12.,001~$180,00037%(A-$120,000)×0.37+$29,467
$180,001~45%(A-$180,000)×0.45+$51,667

「Medicare levy」は、課税所得の2%を上記にプラス。

低所得者控除
課税所得(A)税控除額計算
~$37,500$700
$37,501~$45,000$700-((A-37,500)x5%)
$45,001~~$66,667$325-((A-45,000)x1.5%)
$66,668~$0
低中所得者控除
課税所得(A)税控除額計算
~$37,000$255
$37,001~$48,000$255+((A-37,000)x7.5%)
$48,001~$90,000$1,080
$90,001~$126,000$1080-((A-90,000)x3%)
$126,001~$0

低所得者控除と低中所得者控除は両方同時に有効です。今回これらの控除と「Medicare」保険料を考慮すると、約2万2,800ドルまではタックスがゼロの計算になります。下記のリンクがATOの税金簡易計算サイトです。本記事の発行時点では20/21のアップデートができていませんが、7月1日にはアップデートされるはずです。

Web: www.ato.gov.au/Calculators-and-tools/Host/?anchor=STC&anchor=STC#STC/questions

非居住者(WH以外)の税率
課税所得(A)税率税計算
$1~$120,00032.5%(A)×32.5%
$120,001~$180,00037%(A-$120,000)×0.37+$39,000
$180,001~45%(A-$180,000)×0.45+$61,200

非居住者の場合、銀行利息の税金は、一律10%で、他の税金とは分けて計算される。

WHのタックス・レート
課税所得(A)税率税計算税計算
$1~$45,00015%(A)×15%
$45,001~$120,00032.5%(A-$45,000)×0.325+$6,750
$120,001~$180,00037%(A-$120,000)×0.37+$31,125
$180,001~45%(A-$180,000)×0.45+$53,325

WHビザのみで滞在し、収入が雇用収入のみで4万5,000ドル以下(19/20は37,000ドル)、源泉徴収が15%だった場合、タックス・リターンを出すと、プラス・マイナス0ドルになるので、それに当てはまるWHのタックス・リターンの義務がなくなっています。銀行利息が少しあっても、WHとして口座を開設する時に非居住者扱いになっていれば、申告は不要です。

WHは、基本的には非居住者ですが、年度の途中で6カ月以上のコースをとった学生ビザや、ビジネス・ビザ、永住ビザなどに変更するとビザ変更時点で居住者になります。会計年度内でビザが変わって居住・非居住のステータスが変わった場合、WH期間と居住者扱い期間で幾らずつ収入があったかによってタックスは戻ったり支払ったりになります。WHのレートが変わったのは2017年1月1日からですが、いまだに年の途中でWHから他のビザに変わった場合の申告・計算を、雇用主やATOで間違うことがあり、申請後に大きな請求書が来て、それをATOに訂正してもらうケースが後を絶ちません。WHから年度途中に居住者になった場合の計算は複雑なので、ここでは省略させて頂きます。

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タックス・リターンの準備

以下は、ご自身のATOの「MyGov」内か、税理士がATOポータルから見られる情報です。

  • 「Income Statement」以前は「Payment Summary」を雇用主から受け取っていましたが、現在は雇用主から給与の支払いごとにATOにレポートが届くため、Payment Summaryの発行は特殊な場合を除いてなくなりました。しかし、ATOにレポートが届いていない場合は、雇用主からPayment Summaryをもらうべき場合もあります。
  • 銀行利息
  • 株の配当
  • 「Private Health Fund」の記録

ご自身で用意するものは、以下が主なものです。

  • 戻りを受け取るための銀行口座の情報(BSB、Account Number、口座名義)
  • 投資ファンドからの記録
  • 不動産投資の記録
  • ビジネスの収支内訳など
  • 必要経費の証拠(レシートなど)
  • 配偶者の収入(記録として入れる必要があります)
  • パスポートとビザの証明-Medicare保険料(※2)免除の場合(※2)「Medicare」保険とは国民健康保険です。課税収入の2%が保険料として計算されます。テンポラリー・ビザでMedicareの資格がない場合は保険料は払う必要がないので免除してもらうことができます。そのためには所得税申告前に「Medicare Office」に免除証明書を発行してもらう必要があります。

申告方法は以下の通りです。

  • 登録税理士(Tax Agent)に依頼する
  • myGovから自身でオンライン申告

登録税理士に頼むと料金が発生しますが、正しいアドバイスを受けることにより戻りが多くなったり、時間の節約にもなります。また、その料金は翌年のタックス・リターンの際に経費として計上できる上、税務署との間にワンクッション置くことによって後日税務署とやり取りが必要になった場合に安心です。myGovから申告する場合、申告内容がシンプルで、税務署から直接連絡が来ても対処のできる人には良いと思われます。

●所得税申告期限

自分で申告する場合は10月31日まで。登録税理士から申告する場合は大抵翌年の5月15日まで延長になりますが、過去の申告が滞っていると延長できません。

●申告期限を過ぎてしまったら

申告の義務のある期間について申告できていないものはもう出せないのではなく、一刻も早く出す必要があります。そういう場合は自分で出さずに登録税理士に依頼しましょう。知らないうちに罰金が科せられていることもありますのでご注意を。

●タックス・リターンの申告をすると

通常1~2週間で「Notice of Assessment」という結果通知が郵送されます。myGovのオンライン登録をしている人は、自分で出した場合も税理士経由で出した場合も、myGovのインボックスに通知がきます。戻りのある人は銀行に振り込まれます。支払いがある人は「Notice of Assessment」が請求書も兼ねています。

また、登録税理士を通して申告した場合の戻りは、直接自分の口座に受け取る方法の他に、一度税理士の特別口座で受理し、そこからご自分の銀行口座に送金してもらう方法があります。オーストラリアに銀行口座がない場合など、外国送金も頼めるので便利です。その場合、代行料金も戻りから取ってもらえるので、先払いせずにすむのも魅力です。

申告が終わって入金がされた後も、申告時に必要だった書類や、Notice of Assessmentは大切に保管しましょう。スキャン・データの保存でも大丈夫です。基本的には5年の保管となります。

●スーパーアニュエーション(スーパー)を使った節税(PR・市民の場合)

スーパーは、個人の積立年金で税金の優遇があり、最も簡単な節税対策と言えます。スーパーは投資信託で通常銀行利息よりも投資効果は高いのですが、経済状況によって減る場合があり、一定年齢になるなど条件をクリアしないと出金できませんので、ご注意ください。

一時滞在ビザの場合、出国してビザが失効した後、スーパーの引出しができます。その際に、WHは65%、WH以外のビザは35%のタックスが取られますので、スーパーに積立追加をしても節税の意味はありません。

【追加積立による課税収入控除】

雇用主から通常給与の9.5%(2021年7月1日から10%)が税引き前(ビフォー・タックス)として積み立てられますが、その他に個人で追加積立をすることができます。個人がスーパーに追加積立をすると、一旦税引き後(アフター・タックス)として扱われます。その後、スーパーファンドにビフォー・タックス扱いにすることを依頼し、それについてファンドからの確認書を受け取ると、タックス・リターンの際にその金額を課税所得から減らすことができるため、税金の額が少なくなります。

積立金は、ファンド内で15%のタックスが取られるので、実際の節税としては、自身の税率マイナス15%となります。つまり、年収8万ドルの税率は「Medicare levy」を入れて34.5%ですので、1万ドルをスーパーに入れてビフォー・タックスにすることによって、

$10,000x(34.5%-15%)=$1,950

の節税となります。ただし、積立をする人の条件などがあります。

1年にビフォー・タックスとして積み立てられるのは、2万5,000ドル(2021年7月1日から2万7,500ドル、雇用主からの積立含む)です。スーパーの残高が50万ドル未満の場合、2万5,000ドルの枠内のビフォー・タックスとして使っていない額は、2018/19分から5年間繰り越すことが可能になっているので、予期せぬ利益があった時などにまとめて積立・税控除に使うことができ、毎年控除していくこともできます。

【収入が少ない配偶者へ積立して税控除】

配偶者の収入が4万ドルより少ない場合、配偶者のスーパーに積立することによって、税金控除がされます。配偶者の収入が3万7,000ドル未満だと、積立金の18%が税金控除となり、控除の上限は3,000ドルの積立の18%=540ドルです。配偶者の収入3万7,000ドル~4万ドルの間はパーセンテージが少なくなります。

本記事は一部を紹介しているだけのため、詳しくは税理士・会計士・ファイナンシャル・アドバイザーにご確認ください。

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ATOの傾向

オーストラリアの政府はさまざまな手続をオンライン化することを積極的に進めています。ATOは時代に合わせた変化としていますが、オンライン化することによって税徴収がより多く行えるというのがATOにとって一番のプラスとなっていると言えるでしょう。

政府の機関は横にも繋がるようになり、ATOと移民局、センターリンクなどで情報のやり取りがされています。

子どもの扶養補助(Family tax benefit)や、チャイルド・ケアの補助を受けている場合、タックス・リターンや申告不要届が遅れると補助金が止まってしまう場合があります。ATOとセンターリンクがつながっているとはいえ、報告しているのに更に催促が来る場合もあるため、その場合はセンターリンクに直接連絡して事情を確認する必要があります。

オンライン化によりデータの行き来が早いため、監査の入り方も早くなってきました。以前は申告を一度通してから監査をしていましたが、最近はデータ・マッチングなどで、何か合わない申告は処理をストップして証拠の提示を求められることが多くなりました。

2020年は、コロナ禍で税金の徴収や催促を厳しくしない方針がありましたが、今年になってから元通りになっています。コロナ禍でさまざまな補助金が出た2020年でしたが、それは税金からまかなわれる資金です。政府は減税と銘打って表面上は納税者の負担を減らしているように謳(うた)っていますが、実際のところ、医療費控除がなくなったり、大学の授業料返済の最低年収を下げたりと、喜んでばかりではいられません。今後、税金の取り立てが一層厳しくなることが予想されます。

間違った申告や遅れに対するペナルティーや、それにまつわる利息などコロナ前に積極的に取り立てが行われていましたが、コロナ禍で一時ストップしていました。いずれにしても、正しく期日中に対処するのが大切です。しかし、もしペナルティーや利息などが付けられた場合でも、免除の依頼ができますので、あきらめずに代行依頼した税理士に相談しましょう。自身で申告した場合は、ATOと直接交渉してください。

※本記事は一般的な情報提供が目的であり、アドバイスとして利用されるためのものではありません。

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甘利会計事務所(Amari Tax &Accounting)

住所:Level 10, Suite 1003, 84 Pitt St., Sydney NSW
Tel: (02) 9223-7448
Email: info@taxjp.com.au

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