「駐イラク豪大使観警護に部隊派遣」

米英豪主導イラク侵攻の破綻続く

 サダム・フセイン独裁政権は北部のクルド人、中部のイスラム教スンナ派アラブ人、南部のイスラム教シーア派アラブ人という民族・宗教対立を抑えてイラクをまとめていた。このような国内対立の種は、イギリス、フランスなどヨーロッパ植民地主義が地元民の民族や宗教の領域と無関係に国境線引きしたことにある。アフリカ諸国の悲惨な内乱も原因はほとんどがヨーロッパ植民地主義による国境線引きにまで遡る。フセイン政権崩壊後、西側諸国軍の後ろ盾で成立したヌーリー・マーリキー政権は国内少数派のシーア派で占められ、多数派スンナ派国民の不満が高まる結果になっていた。

 そういう国内対立を栄養分にして、隣国シリアで反政府勢力の一翼を担っていたISISがシリア・イラク国境を越えてイラクに入り込んでいる。ISISはその戦闘性と残忍さで知られており、イラク国内のスンナ派地域での都市奪取でも投降した政府軍兵士らの大量処刑のビデオをインターネットを通して広め、勢力拡大の材料に使っている。

 マーリキー政権はアメリカに対してISIS占領地域を爆撃するよう要請している。しかし、スンナ派地域の住民はシーア派政権の軍隊よりもISISの占領を歓迎しているといわれ、アメリカが住民にも被害を出す爆撃を行った場合、スンナ派住民の反政府感情がさらに高まることは確実。

 イラクが再び内戦へと落ち込んでいく状況で、トニー・アボット保守連合政権は、ジュリー・ビショップ外相がイラク滞在のオーストラリア国民に対して即時退去を呼びかけており、アボット首相も「アメリカの信頼できる友人として行動する」ことを公言していたが、6月20日、駐バグダッド豪大使館の警護のために小部隊を派遣すると発表した。ただし、デビッド・ジョンストン国防相は人員規模については作戦遂行上明らかにできないとしている。また、大使館警護の部隊はISIS勢力がバグダッドに迫った場合、交戦することはなく、安全なうちに大使館員全員をバグダッドから避難させることを任務としている。(NP)

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