豪、米に協力で輸送機をイラクに派遣も

オバマ、ISIL鎮圧長期化を警告

 シリア内戦が終息せず、反政府派の多数のグループの中で勢力を伸ばしたスンニ派系ISISは、政府軍ばかりか反政府派グループでも意見が異なれば攻撃殺害する凶暴さでアルカイダも持てあましたと言われている。そのISISは隣国イラク北部、クルド人とシーア派の間のスンニ派住民地域に浸透した。イラクの現政権がシーア派寄りの政治を行っていることで不満をいだいていたスンニ派住民は当初はISISを歓迎したが、あまりにも偏狭で凶暴なISISに嫌気を感じ始めたと報道されている。そのISISは名前もISILと変え、占領地域を「イスラム国家」と名付け、過激化する若い層を集める一方で他宗教・他宗派住民に改宗か死かと迫っている。ISILの攻撃対象になったクルド人は平地から山岳部に移動し、熱暑下、水も食糧も不足する状況で子供や老人は危険な状態にあることが伝えられた。

 ジョージ・ブッシュ前米大統領のイラク侵攻に反対していたバラク・オバマ現米大統領は、ISILを壊滅させることが地域の安全と平和に不可欠として、ISIL占領地域の戦略拠点の爆撃を許可、8月9日から10日にかけてはいくつかの地点を誘導爆弾攻撃し、クルド人避難民密集地域に水と食糧を投下している。

 米政府が豪政府に対してイラク北部の人道支援に協力を求めている。そのため、豪政府もアラビア地方に置いているC-130ハーキュリーズを派遣する予定。

 イラクのシンジャール市には4万人のヤジディ難民が閉じ込められており、水、食糧その他の生活必需物資を届けることが緊急事になっている。オーストラリアはアラブ首長国連邦にハーキュリーズ2機を置いており、トニー・アボット首相は、「その2機で迅速に物資を投下できるよう調べている」と語っているが、豪海軍艦船からISILに対してミサイル攻撃できるのではないかという問いに対しては、「現段階でそのような話は出ていない」と否定し、オーストラリアはあくまでも人道支援のみと強調している。

 西側諸国から「アラブの春」ともてはやされた北アフリカから中東にかけての政変はムスリム穏健派の政治の失敗から過激派のさらなる過激化に発展している。西側諸国からは「ISILを殲滅しなければならない」という意見も出ているが、イラクがISILに侵略された背景には現政権がシーア派だけで固めたため、スンニ派が不満を募らせたことがあり、「外から何をしてもムダ。イラク社会の安定化を図る以外に有効な対策はない」とするヒュー・ホワイト教授のような意見もある。(NP)

http://www.smh.com.au/world/australia-readies-to-send-hercules-to-iraq-20140809-3dfe0.html

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