「タスマニアタイガーは遺伝学的に不健康な状態」

DNA解析で何万年も前から絶滅に向かっていた

 1936年にホバート動物園で最後の1頭が死亡、完全に絶滅したと考えられているタスマニアタイガーことフクロオオカミの幼児標本をDNA解析した結果、タスマニアタイガーは人間に滅ぼされるよりも何万年も前にすでに遺伝学的に袋小路にあり、絶滅に向かっていたことが示された。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 100年を超えるこの幼児標本のゲノム・シーケンシングの結果、タスマニアタイガーの個体間に遺伝的な多様性が欠けており、タスマニアン・デビルと同じようにすべての個体がクローンのようなありさまだった。

 その研究では、タスマニアタイガーを系統樹上に位置づける試みもなされ、タスマニアン・デビルを絶滅から救う方策を見つけることができればと研究者は望んでいる。

 12月12日付Nature Ecology and Evolutionはタスマニアタイガーのゲノムを掲載しており、絶滅した動物の中ではもっとも完璧なDNAマッピングとしている。

 この研究の共同著者でメルボルン大学の進化生物学者、アンドリュー・パスク氏は、「DNAは簡単に崩れていくから、絶滅した種のゲノム解析は容易ではない。過去にも世界中のタスマニアタイガーの標本からDNAを採取することをやってみたが、そのDNAが超がつくほどバラバラになっており、ゲノムの完全なシーケンスを考えるにはあまりにもバラバラだった。ところが、この幼児の標本はたまたまエタノールに浸されていたため、他の種類の保存液ほどにはDNAを崩していなかった。実際、100年とは思えないほど良好な状態だった」と述べている。

 タスマニアタイガーは3000年ほど前まで大陸本土にも棲息していたと考えられる大型有袋肉食獣だが、種の生存のためには個体間の遺伝子の多様性が求められる。環境が急激に変化した場合でも個体間の遺伝が多様であればいずれかの個体が生き延び、再び個体数を増やすことができる。

 タスマニアタイガーのゲノム・シーケンスを調べた結果、7万年から12万年ほど前の氷河期に遺伝的なボトルネックがあったが、それ以前からすでに遺伝学的に問題があり、徐々に滅亡に向かっていたと述べている。
■ソース
Tasmanian tigers were in ‘bad genetic shape’ long before extinction, DNA analysis shows

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