「効果のない療法に悪辣な巨額請求」

医療専門家、幹細胞治療横行に警報

 幹細胞治療は世界の最先端を行く研究所が熱心に研究を続けているが、まだほとんど解明されていない。まして治療実用化の段階にはなく、現在、幹細胞治療と称して何万ドルという単位の治療費を請求するケースが増えていることに対してオーストラリア国内の医療専門家が警報を発している。

 しかし、どんなに専門家が「詐欺まがい」と警告しても、難病の子供を持つ親らはわらにもすがる思いで効果のない「幹細胞治療」に飛びつき、国内で幹細胞治療が受けられない場合には海外に出て治療を受けようとする。しかし、海外での治療では何の補償も受けられない可能性がある。ロシアのモスクワで幹細胞治療を受けていたオーストラリア人女性、ケリー・バン・ミュアーズさんは、スティッフ・パーソン症候群と呼ばれるごくまれな神経障害に悩まされていたが、治療中に心臓マヒで亡くなり、この詐欺まがいの治療法への警告が再び強調されている。

 メルボルン大学の幹細胞生物学者、メーカン・マンシー准教授は、「国内では幹細胞治療は制限されており、海外で治療を受けようとする患者が増えている。薬事法の不備で、国内でも海外でも患者自身の幹細胞を用いる限り、治療法の安全性や効果が治験を経て証明されていなくとも、幹細胞療法を施すことができる。国内でも何十人も効果の疑わしい幹細胞治療をする医者がいる」と語っている。

 多発性硬化症を患っているアニー・レベリントンさんは、ドイツのケルンにあるXCell Centreで自分の幹細胞を使った治療を受けに出かけた。自分の骨髄から抽出した幹細胞なるものを点滴されたが、15000ドルの治療費を払ってオーストラリアに戻っても症状は改善せず、血液検査を受けた結果、「幹細胞移植の痕跡もなかった」と知らされた。

 また、1992年に人の血液幹細胞を発見したスタンフォード大学のアービン・ワイスマン教授は、「幹細胞治療をグーグルして見つけたリザルトを調べた結果、最初の200件はすべて詐欺療法だった。不治の病に苦しむ人がそういう詐欺に騙されてしまうことは理解できる。騙す方がどういう神経をしているのか理解に苦しむ。彼らは病気に苦しんでいる人達を金づるとしてしか考えていないのだろう。何の効力もない治療法に7万ドルも請求できるのだから。私はこの療法の商業化そのものに反対だ」と語っている。

 また、インターネットで療法を探すことにも警告を発しており、「ドクター・グーグルには気をつけた方がいい。特に患者の体験談などは信じない方がいい。ミュアーズさんの死因は未だに分かっていない。分かっていないということそのものが問題だ。患者があえて危険を冒して治療を受けても、私たちはその失敗から何も学ぶことができない。それではどうにも改善の道がない」と語っている。(NP)

http://www.abc.net.au/news/2014-08-25/rogue-operators-charge-thousands-ineffective-stem-cell-treatment/5695360

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