第64回 NAT 依存

日豪サッカー新時代

第64回 依存
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

ケーヒルへの依存は高まるばかり。写真はアジアカップ時のローカル紙の一面“ティムを信じよ”とある(筆者撮影)
ケーヒルへの依存は高まるばかり。写真はアジアカップ時のローカル紙の一面“ティムを信じよ”とある(筆者撮影)

サッカルーズのW杯2次予選11月シリーズが終わった。2戦2勝で乗り切った豪州は直接対決で敗れ先んじられたヨルダンを抜き去り、勝ち点差2でグループBの単独首位に立った。

キルギスタン戦(12日キャンベラ)は、スコットランドでブレーク中のご当地選手トム・ロギッチ(セルティック)の凱旋試合。そのロギッチは、直前に合流したこともあって先発出場は回避。61分、主将のミレ・イェディナク(クリスタルパレス)との交代で満を持して出場。今後のサッカルーズを共に支えるマッシモ・ルオンゴ(QPR)やアーロン・ムーイ(メルボルン・シティ)との30分間の競演は、ファンを喜ばせた。

続くアウェーでのバングラデシュ戦(17日ダッカ)は、首都ダッカの治安悪化で安全面の不安がささやかれた中での試合。このアウェーの対戦に臨んだサッカルーズは、マシュー・レッキー(インゴルシュタット)、トミ・ユリッチ(ローダJC)、そしてロギッチと主力クラスにケガ人が続出。まさに“野戦病院”の様相を呈し、19人での遠征で臨んだ。前半から実力差がある相手に対して、試合の主導権を握ったサッカルーズは、ティム・ケーヒル(上海申花)のハットトリックとイェディナクのPKで4−0と前半で圧倒するも、後半は追加点を挙げられずに試合終了を迎えた。

7得点での2連勝、首位の座を奪還。確かに結果はオーライだ。この7得点のうちの1点は相手DFの自殺点。残る6点は、36歳の絶対的エース、ケーヒルのハットトリックを含む4点、さらには31歳の主将イェディナクのPKを含む2得点によるもの。ここにサッカルーズの弱点が透けて見えてくる。

W杯2次予選でケーヒルとイェディナクのいずれも得点しなかった試合は、9月のホームでのバングラデシュ戦のみ。この試合には、ケガのイェディナクは招集されておらず、ケーヒルも後半62分からの出場で不発。それ以外の5試合では、いずれかが必ずゴール・ネットを揺らしてきた。

得点という“結果”だけで、両ベテランへの依存度が高過ぎると論じるのは早計だろう。ただ、これから相手がレベルアップしていく中で、もし、2人に何かあったらということを想定しておく必要はある。代表チームの得点ランキングで独走するケーヒル(45得点)はともかく、その次に続くのが守備的MFのイエディナク(11点)。こういう状況が続いているようではいけない。若手攻撃陣の奮起を願いたい。


【うえまつの独り言】
FFA(オーストラリア・サッカー連盟)を長らく支えたフランク・ローイが一線から身を引いた。不毛の時代から私財を投げ打ってサッカー界の発展に貢献した彼の後継には、父親から会長職を“禅譲”された三男のスティーブンが就任。まずは、“2代目”のお手並み拝見といきたい。

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