第56回 NAT 明暗

日豪サッカー新時代

 

第56回 明暗

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


いつも激しい戦いのシドニー・ダービー。小野、デル・ピエロの直接対決も今は昔。(筆者撮影)

今年のAリーグが面白い。勝ち点5の中に5チームがひしめくシーズン王者争いは、例年にない大混戦で、最終節までもつれ込む可能性大。この原稿を叩いている時点では第22節が終了しており、ウェリントン・フェニックスが勝ち点42で首位に立っている。それをメルボルン・ビクトリー、シドニーFC、パース・グローリーが勝ち点38で追い、アデレード・ユナイテッドが勝ち点37で続く。さらにその後に続くメルボルン・シティとブリスベン・ロアの2チームが、ファイナル圏内ギリギリの6位を激しく争う展開となっている。

と、ここまで順位表を確認しながら書き進めて、今季のAリーグでの最大のサプライズを改めて感じることになった。ウェリントンが首位を走っていることもそうではあるが、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(WSW)の予想外の低迷が際立つ。クラブ設立以来、昨季までの2季のAリーグを大いに盛り上げ、昨年のACLでアジア王者にまで輝いたWSWが、今季はとにかく目を覆うような絶不調に喘いでいる。

3月23日時点で、21試合を消化したWSWの成績は2勝5分14敗。その勝率は何と1割に満たない。一体、何があったのかと原因を書き連ねる紙幅の余裕はないが、昨年も同じ状況下でACL、Aリーグともに結果を出しただけに、過酷なスケジュールは言い訳にできない。リーグ参入以来、WSWが紡いできた“おとぎ話”はついに今季で途絶えてしまうのか。可能性の潰えたリーグ戦はともかくとして、これからのACLでの大暴れでの面目躍如に期待したい。

かたや、WSWの“クロスタウン・ライバル”のシドニーFCは好調。現在、首位に勝ち点差4の3位に付け、レギュラーシーズンの優勝争いの最中にある。メルボルンVと並んで10年目を迎えるAリーグを長く牽引してきたビッグ・クラブが、名将グラアム・アーノルドの下での復活を虎視眈々と狙っている。戦力的にも、ササ・オグネノブスキやアリ・アッバスなどの主力をケガで欠きながらも上位に踏み止まり、アジアカップのブレイク明けの現役オーストリア代表のFWマーク・ヤンコの大爆発とともにチーム状態はさらに上向き。名門の2010年以来のタイトル奪取の可能性を低くは見積れない。

はっきりと明暗が分かれたシドニーの両雄が、残りのシーズンをどう戦うかを引き続き注視していきたい。


【うえまつの独り言】
今年のACLのグループリーグも前半戦が終わり、日豪の成績に明暗が分かれた。4クラブで2勝しか挙げていない日本勢。2クラブで何とか2勝を挙げた豪州勢。4月21日には鹿島、5月5日には浦和が来豪、それぞれWSW、ロアと“日豪戦”を戦うのにも注目したい。

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