嵐の前の静けさ? 2月の豪インフレ率わずかに減速も、中東緊迫で今後の物価高騰は不可避か

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前年同月比3.7%上昇 市場予測下回る

 オーストラリア統計局(ABS)が25日発表した物価統計によると、2月の消費者物価指数(CPI総合)の上昇率は、前年同月比で3.7%と1月の3.8%からやや減速した。市場予想のコンセンサス3.8%(ロイター通信)もわずかに下回った。前月比の上昇率は0%と1月の0.4%からスローダウンした。

 一方、中央銀行の豪準備銀(RBA)が金融政策を決める上でより重視するCPIの「トリム平均値」(極端な物価変動を除いた値)の上昇率は、前年同月比3.3%と12月、1月と変わらなかった。トリム平均値は、RBAのインフレ目標「2〜3%」を昨年7月以降8カ月連続で上回っている。インフレ圧力のしつこさが改めて浮き彫りになった。

自動車燃料は2月まで下落していたが…

 項目別では、住居費の上昇率が前年同期比7.2%と1月の同6.8%から加速した。このうち電気料金は政府のエネルギー補助金終了の反動で同37%跳ね上がった。補助金の影響を除く上昇率は同4.9%だった。住宅新築や家賃も高水準だった。

 自動車燃料費が前年同月比7.2%低下したことを背景に、交通費は同0.2%下落した。

ABS物価統計部門の責任者を務めるスー-エレン・ルーク氏(ABS声明)
「中東紛争に先立ち、自動車燃料費は1月に前月比3.2%、2月に3.4%それぞれ下落していた」

原油価格上昇は供給網全体に影響与える

 ただ、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、2月の物価統計はほとんど意味のないものとなっている。直近のガソリンの小売価格は全国平均で封鎖前から約4割上昇しており、3月以降の統計は物価上昇が避けられないと見られる。

投資サービス会社「バンエック」の資本市場部門の責任者を務めるラッセル・チェスラー氏(ロイター通信)
「ペルシャ湾岸の戦争ぼっ発を受けて、不確実性と変動の激しさが前面に出てきた。エネルギー価格上昇は輸送費やモノ、サービスの物価に波及していくだろう」

配給制や石油製品とLNGの交換も俎上に

 ホルムズ海峡封鎖によって、オーストラリアでは燃料価格の上昇にとどまらず、一部では石油製品の供給にも混乱が出始めている。ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相は24日、燃料の配給制や自宅勤務を含む全国レベルの対策に言及した。

 また、メディア大手ニューズ・コーポレーションのニュースサイトによると、鈴木量弘・駐オーストラリア日本国大使は25日、オーストラリアの燃料不足に対応するため、日本製の石油精製品(ガソリン、軽油など)とオーストラリア産の液化天然ガス(LNG)の交換の可能性について言及したという。

 オーストラリアは液体燃料の9割を主にアジアからの輸入に依存しており、日本からも年間17億豪ドル(24-25年度=豪外務貿易省・貿易統計)の石油精製品を輸入している。日本はオーストラリアと比較して石油の備蓄に余裕がある一方、カタール産LNGの供給がストップしていることから不足分の調達が急務となっている。赤沢亮正経産相も14日、オーストラリアのマデレーン・キング連邦資源相にLNGの増産を要請していた。

 さらに、同サイトによると、保守系の連邦野党「ワンネーション」は25日、「1984年連邦液体燃料緊急法」の発動を政府に要請した。同法は、燃料の供給に非常事態が生じた場合、民間の原油や液体燃料の備蓄を管理する権限を連邦エネルギー相に与え、配給制の下で国防軍や警察、救急・救命隊、消防、公共交通機関などの必要不可欠なサービスへの燃料供給を優先することができる。

◼️ソース

CPI rose 3.7% in the year to February 2026, Media Release(ABS)

Australia’s inflation slows slightly in February ahead of war-driven energy shock(Reuters)

One Nation calls for fuel rationing as diesel crisis deepensOne Nation calls for fuel rationing as diesel crisis deepens(news.com.au)

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