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ニュースで振り返る1年 2019重大ニューストップ5①

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ニュース・ダイジェスト

ニュースで振り返る1年
重大ニューストップ 5

新時代「令和」の幕開け

日本では5月1日、30年余り続いた平成が終わり、令和の時代が幕を開けた。新時代の幕開けを祝うムードが漂う一方、こうした空気を打ち消すことができない出来事も多い1年となった。

今年も甚大な被害をもたらす自然災害が相次いだ。6月には山形県沖を震源とする震度6強の地震が新潟県や山形県を襲った他、1月には熊本県、2月には北海道でそれぞれ震度6弱の地震が発生した。

9月には台風15号が千葉市に上陸。関東各地や静岡県で停電や倒木が相次ぎ、千葉県を中心に停電や断水など大きな被害を及ぼした。10月には台風19号が静岡県・伊豆半島に上陸した後、関東地方を縦断。記録的大雨の影響で、全国で88人の犠牲者が出た。

また社会を不安に陥れる殺人事件も続いた。5月には川崎市多摩区で、スクール・バスを待っていた私立カリタス小学校の児童ら20人が殺傷された他、7月には京都のアニメ制作会社、京都アニメーションのスタジオに侵入した男が放火し、36人が死亡、33人が重軽傷を負った。

一方、明るいニュースもあった。2月に探査機「はやぶさ2」が、小惑星「りゅうぐう」へ着陸し、土砂の採取に成功した。7月には人工クレーターに2度目の着陸を行い、小惑星地下からの物質採取にも成功。これにより、太陽系の成り立ちや地球の生命の起源を探る手掛かりになることが期待されている。

スポーツ界では若手選手の活躍が目立った。1月にはテニスの大坂なおみ選手が、昨年の全米オープンに続き、全豪オープンで優勝。6月にはサニブラウン・アブデルハキーム選手が陸上100メートルで9秒97の日本新記録を出した他、8月にはゴルフの全英女子オープンで、渋野日向子選手が優勝した。来年の東京五輪・パラリンピックを前に、世界に通用するアスリートが次々と現れ沸き立つ1年となった。

豪州は「不景気知らず」も正念場

オーストラリアに目を向けてみよう。5月に行われた総選挙では、与党の保守連合(自由党、国民党)が最大野党・労働党との激戦を制し勝利した。労働党は6年ぶりの政権交代に向けて優勢とみられていたが、モリソン首相は雇用創出や財政収支の黒字化に向けた見通しなど経済運営の実績を主張し、労働党の攻勢をしのいだ。

与党の経済手腕が期待されたものの、オーストラリアの経済成長率は今年、世界金融危機以降で最も低い水準まで落ち込んだ。豪統計局(ABS)によると、4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比では1.4%増と、2009年9月期以来約10年ぶりの低水準となった。

これは物価や賃金の伸びが鈍く、個人消費が低迷したことが主な原因だ。政府は景気てこ入れのため所得税減税を実施した他、オーストラリア連邦準備銀行(RBA)も6月に2年10カ月ぶりの利下げに踏み切った。だが、米中貿易摩擦の影響などを受け、景気先行きは不確実性が増している。

オーストラリアは1990年代初頭から30年近くにわたり、世界で最も長いとされる景気拡大期を続けてきた。だが長らく「不景気知らず」だったオーストラリアも、正念場を迎えている。

政治・経済
時事通信社提供

No.1豪総選挙、与党が勝利

総選挙で勝利したモリソン首相
総選挙で勝利したモリソン首相

オーストラリア総選挙の投票が5月18日に行われ、即日開票の結果、焦点の下院(定数151、任期3年)で中道右派の与党勢力・保守連合(自由党、国民党)が中道左派の最大野党・労働党との激戦を制し、勝利した。労働党は6年ぶりの政権交代に向けて優勢とみられていたが、最終盤で流れは変わった。モリソン首相は支持者らを前に「奇跡を信じていた」と勝利宣言した。労働党のショーテン党首は党首辞任を表明した。豪州では自由党の党内抗争で首相交代が相次いだことから政治不信が広がった。事前に苦戦が伝えられていた与党は、6年にわたり積み重ねた政権の実績をてこに「政権の継続を」と訴え、土壇場で形勢を逆転した。

No.2日豪首脳、太平洋構想実現へ協力

安倍晋三首相は8月25日午後(日本時間同日夜)、オーストラリアのモリソン首相とフランス南西部ビアリッツで会談した。日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向け、今後、米国も交えた3カ国で具体的な協力を推進していくことを確認。南シナ海や北朝鮮の情勢についても話し合い、引き続き緊密に連携することで一致した。豪州は、ホルムズ海峡などの安全確保を目的に米国が結成を目指す有志連合への参加を表明しており、イラン情勢をめぐっても意見を交わしたとみられる。豪州は先進7カ国首脳会議(G7サミット)の招待国。

No.3アサヒ、豪ビール最大手を買収

アサヒグループホールディングスは7月19日、オーストラリアのビール最大手カールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)を、160億豪ドル(約1兆2,200億円)で買収すると発表した。少子高齢化で国内市場が縮む中、需要の伸びる海外で高級ビール事業の拡大を図る。買収額はアサヒとして過去最大で、日本勢による海外企業の買収としては7位。CUBを傘下に持つベルギーのビール世界最大手、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)と合意し、19日付で株式売買契約を結んだ。2020年3月末までに手続きを終える見込みだ。

No.4豪各紙「黒塗り新聞」で政府に抗議

オーストラリアの主要紙は10月21日付の1面に、大半を黒く塗りつぶした記事や文書を掲載し、政府が報道の自由を制限しているなどと一斉に抗議した。豪州では6月、公共放送の本部や大手メディアの編集者の自宅が警察による家宅捜索などを受けている。全国紙オーストラリアンは1面の記事の大を黒く塗りつぶし「公表不可、秘密」のスタンプを印字した。有力地方紙シドニー・モーニング・ヘラルドも同様のスタンプ付きで、大半の文字が塗りつぶされた文書を掲載した。今回のキャンペーンは、普段は激しいスクープ合戦を繰り広げる豪メディアが組織の垣根を越えて結束した形だ。

No.5カンタス、世界最長路線で調査飛行

航空大手カンタス航空は10月18日、米ニューヨーク−シドニー間を19時間半で結ぶ直行便の調査飛行を行った。飛行距離は1万6,000キロ弱。シンガポール航空が現在運航しているニューヨーク便を上回り、民間の航空路線としては「世界最長」になるという。カンタスは、豪州の東海岸とニューヨークや欧州主要都市を直行便で結ぶ路線の就航に向けた計画を進めている。今回は乗客が快適に過ごすための方法や乗組員の健康に与える影響などを調べた。調査飛行は18日にニューヨークの空港を出発。航続距離を確保するため、乗員を含めた搭乗者は約50人に限定した。

社会

No.1「ウルル登山」の歴史に幕

登山禁止となった世界最大級の一枚岩「ウルル」
登山禁止となった世界最大級の一枚岩「ウルル」

世界最大級の一枚岩として知られるオーストラリア中央部のウルル(英語名:エアーズ・ロック)で10月26日から登山が禁止された。登山道の入り口が閉鎖され、国内外から訪れた人々が世界遺産の巨岩の頂上から眺望を楽しんできた歴史に幕が下りた。午後4時すぎに、入り口付近に「永遠に閉鎖」と書かれた表示板が付けられると、集まった先住民(アボリジニ)らが一斉に拍手した。先住民にとっては先祖の魂が生きる聖地だ。この土地の所有者として1985年に「返還」を受けた先住民は、政府と契約を結んで土地を貸し出したが、登山の可否をめぐる結論は先送りされてきた。(時事)

No.2来年3月、羽田増便で訪日が便利に

東京国際空港(羽田空港)と豪州を結ぶ航空便の発着枠が来年3月29日以降、日豪の航空会社で合わせて1日当たり4便増えることが決まった。日本の国土交通省が9月2日、発表した。このうち日本の航空会社に2便割り当て、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)にそれぞれ1便ずつ配分した。羽田と豪州間の航空路線の発着枠はこれまで、深夜早朝(23~6時)の時間帯に限られていたが、今回の決定で、新たに昼間の運航が認められた。現在、ANAとカンタス航空がいずれも週7便で羽田−シドニー線を運航。各社の新ルートの詳細は、年内の早い時期に発表される可能性がある。

No.3シドニーでライトレール試運転開始

シドニーの目抜き通りジョージ・ストリートで8月28日、路面電車「ライト・レール」の昼間の試運転が始まった。路面電車が市内中心部に復活するのは58年ぶり。シドニーでは19世紀から路面電車が走っていたが、1961年に全線が廃止されていた。市内北部サーキュラー・キーと南東郊外を結ぶ新しいライト・レールは、建設工事が当初の計画から大幅に遅れていたが、これまでに線路の設置が100%終了。旅客を乗せた営業運転は、サーキュラー・キーからランドウィックまでの区間が今年12月、キングスフォードまでの全線が来年3月に、それぞれ始まる予定だ。

No.4ボブ・ホーク元首相が死去

オーストラリア元首相のボブ・ホーク氏が、5月16日に自宅で死去した。89歳。労働党(中道左派)を率いて1983年の総選挙に勝利して首相に就任した。91年まで務め、同党出身首相としては歴代最長。首相在任中にはオーストラリア・ドルの変動相場制を導入した他、規制緩和などを通じて国内経済を改革。27年以上にわたり続いている景気拡大の基礎を築いた。アジア太平洋経済協力会議(APEC)の創設を提唱し、89年に初の閣僚会議が豪州で開かれた。英国中心だった外交関係を改めて、米国や日本などとの関係強化に動いた。(時事)

No.5裁判所、「ワーホリ税」無効と判断

オーストラリアの連邦裁判所は10月30日、ワーキング・ホリデー(ワーホリ)制度を利用する外国人を対象とした所得税が差別的として無効との判断を示した。判決が確定すれば、日本などのワーホリ利用者が支払った税金が払い戻される可能性がある。豪州では、一定額の収入まで無税だったワーホリ利用者を対象に課税する仕組みを2017年に導入。年3万7,000豪ドル(約315万円)までの収入には15%の所得税が課された。公共放送ABCによれば、年約15万人のワーホリ利用者のうち半数に相当する7万5,000人が返金の対象となる可能性がある。(時事)

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