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赤ワイン用のブドウが余っている理由とは?

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2023年産の出荷はやめて 酒造会社が生産者に要請

Photo: Kathy I on Unsplash

 オーストラリア最大のワイン生産地として知られる南オーストラリア州リバーランドでは、赤ワインの原料となるブドウが余っていて、生産者を困らせている。

 公共放送ABC(電子版)によると、リバーランドでは500軒以上のブドウ生産者が、ワイン醸造所「ベリー・エステート」などを所有する南半球最大規模のワイン・メーカー「アコレード・ワイン」にブドウを卸している。だが、シラーズやカベルネなど赤ワインの原料となるブドウの供給が過剰となっている。

 赤ワイン用ブドウが余っているのは、中国政府がオーストラリア産ワインに高関税を課して国内市場から締め出したためだ。背景には、オーストラリアと中国の関係悪化に伴う経済摩擦がある。この影響で、オーストラリア産ワインの対中輸出は急減。特に中国人が好む赤ワイン用のブドウは値崩れを起こしている。

 このため、アコレードは2023年産ブドウについて、赤ワイン用ブドウから白ワイン用ブドウに転作するか、農地を将来収穫可能な状態で寝かしておくかを決断するよう生産者に要請している。同社は、白ワイン用ブドウに転換した生産者には1ヘクタール当たり1,250豪ドルの奨励金を支払う。農地を寝かしておく生産者には同1,000豪ドルの奨励金を、将来の収穫分についても割増料金を支払うとしている。

4億リットルの赤ワインが余剰に

 アコレード・ワインのサプライ・チェーン部門の責任者を務めるデレク・ニコル氏によると、オーストラリア国内では現在、約4億リットルの赤ワインが余っているという。ニコル氏は「赤から白への転作は、赤ワインの供給過剰を解消。ソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリ、プロセコなど、国内でも海外でも需要が高い白ワインに置き換えることができる」と述べた。

 しかし、赤から白への転作がすぐに可能なわけではない。以前と同じ数量を収穫できるようになるまでには、最短で2年から最長で6年程度かかるという。

 ブドウ生産者は、奨励金によるアコレードの支援を歓迎しつつ、損失を覚悟している。共同組合の代表を務めるジム・ゴッデン氏は「(奨励金が)コストをすべてカバーできるかといえば、答えはノーだ。生産者の1人は『奨励金をはねつけるようなまねはしない。でも、必要経費の全部をまかなうことはできない』と言っていたよ」と語った。

■ソース
Riverland growers asked to not deliver grapes for 2023 wine vintage(ABC News)

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