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エネルギー高騰に政府介入 ガス・石炭価格を上限規制

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高齢・失業手当受給者にも給付金 来週、議会に法案提出へ

Photo: KWON JUNHO on Unsplash

 ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー危機を背景に、オーストラリア国内でも電気・ガス料金が急騰している問題で、政府は異例の市場介入に踏み切る。

 公共放送ABC(電子版)によると、連邦・州首相会議は9日、ガスと石炭の価格に上限を設けることで合意した。これを受け、アンソニー・アルバニージー首相は来週、連邦議会を招集し、エネルギー価格に上限を設ける法案の可決・成立を目指す。法案は、ガスの販売価格の上限を1ギガジュール当たり最大12豪ドルに、石炭を1トン当たり125豪ドルにそれぞれ規制。それ以上の価格での販売を不可能とする。

 連邦財務省の試算によると、政府が介入しない場合と比較して、平均的な家庭では1年間で光熱費を平均230豪ドル節約できるという。

 加えて、高齢者手当や失業手当の受給者に対しては、総額15億豪ドルのエネルギー給付金を投じる。現金を直接該当者に渡せばインフレに油を注ぐことになりかねない。このため、事前に請求金額から差し引く方式とし、給付金が物価上昇圧力とならないよう工夫する。

エネルギー高騰の「特効薬」にはならない

 政府は10月に発表した2022/23年度予算案の中で、ウクライナ戦争の影響により、今後2年間で電気料金は56%、ガスが44%、それぞれ値上がりするとの試算を示していた。

 クリス・ボウエン連邦エネルギー相は、エネルギー価格への政府介入と低所得層への給付金が問題をすべて解決する「特効薬」とはならないことを認めている。その上で同相は「市場全体の価格上昇圧力に対して、大きな影響を与える」と語った。

 一方、資源業界は政府介入の効果を疑問視している。豪石油生産・探鉱協会(APPEA)のサマンサ・マカロック氏は「政府介入は逆効果。価格引き下げのカギとなるのは新しい供給だが、政府介入は(新しい供給先に対する)投資家の信頼を損ねることになる」と指摘し、政府はガス供給を増やすことに注力するべきだとの考えを示した。

■ソース
Coal and gas prices to be capped as national cabinet strikes deal(ABC News)

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