豪州不動産事情/2016年9月の不動産の見通し

不動産のプロに聞く 豪州不動産事情

第52回
今月の不動産の見通し

2016年初めの不動産価格予測では、今年後半以降の不動産売買の動きが鈍くなり、これによって価格が下がるのではと言われていました。政策金利は過去最低となる1.5パーセントまで引き下げられ、今後、この数値よりも更に金利が下がる可能性もあります。しかし、実際の不動産市場を見てみると、不動産価格は緩やかながらも上昇を続けており、予測に反する結果となりました。

12年~15年に見られたような、年間10パーセント以上もの不動産価格の伸び率を見ることはできませんが、シドニーでは年率3~4パーセント前後の成長が見込まれています。また、メルボルンでは人口が将来シドニーを上回るとの見方があり、現在、不動産供給量が不足していることを考えると、メルボルンでも不動産価格の上昇が期待できるという意見もあります。どちらの都市も大幅に価格が上がることはないにせよ、今後10年間の緩やかな上昇を期待する投資家は多いようです。

8月半ばにシドニーで行われた不動産オークションでは、落札率が85パーセントとなりました。中間取引価格帯は約110万ドルとなり、数カ月前には100万ドルまで値下がりを見せましたが、ここに来てまた強気な価格を見せました。冬期は通常、夏期に比べて不動産価格の変動幅が小さくなる傾向があります。しかし、今年の冬は中古物件の売り出しが少なかったこともあり、短期間で売買成約に結び付いた結果、価格が押し上げられたものと予想されます。

一方、投資家はシドニーやメルボルン市内の不動産価格の値下がりが見込めないため、比較的手が出しやすいブリスベンやメルボルンの郊外にある物件の購入に分散してきているようです。

また新築物件は、シドニーのCBD周辺やダーリング・ハーバー、バランガルーなどの地域で引き続き開発が継続されています。その他にも、CBDにある既存のオフィスを住宅に転用(コンバージョン)する計画もあります。あるデベロッパーはオフィス用地としてCBD周辺に購入した土地で、突如タワー・マンションを建てる計画に切り替えるなど、今後もこのエリアの住宅開発は続く見通しです。

今年に入り外国人向けの銀行融資の貸し出しが更に厳しくなり、新たに印紙税が加算されるなど外国人に対する不動産購入の現状は過酷なものとなっています。このため、これまで見られた海外からの投資には陰りが出始めていますが、ローカルの投資家やキャッシュ・バイヤーの投資意欲はまだまだあるようです。


豪州不動産事情

 

スターツ・インターナショナル・オーストラリア
取締役シドニー支店長
寺田環
NSW州不動産業者免許(フルライセンス)所持

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る