法律相談室/豪州のGSTと海外オンライン・ショップ

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第27回 オーストラリアのGSTと海外オンライン・ショップ

アルベルト・アインシュタインの有名な言葉に、「世の中で最も理解に苦しむものは所得税である」というものがあります。オーストラリアではGST(現状10%の物品サービス税。2000年7月1日施行)が連邦政府の主な収入源の1つとなっています。GSTは、オーストラリアで販売・消費されるほとんどの物品・サービスなどにかかる包括的税ですが、基本食品、教育や医療にかかわる商品・サービスの一部、国際運輸はGST課税が免除されています。

どの商品・サービスがGST課税対象かどうか、すぐに判別できますか?例えば、一般的に薬味に分類される商品は非課税のため、“わさび”は非課税。しかし加工食品は課税対象なので“わさび味のナッツ”にはGSTがかかります。また、基本食品である食材は非課税ですが、飲食店で提供される食べ物は、すぐに食べられる状態になっている品であることから課税対象。紅茶のティー・バッグや茶葉は非課税で、カフェで提供される紅茶はGST課税対象というわけです。

他にも、調味料であるテリヤキ・ソースは非課税。すし酢やのりも非課税ですが、すしの値段にはGSTが含まれています。ミネラル・ウォーター(添加物なし)は非課税ですが、ビールや炭酸水、ソフト・ドリンクは課税対象。ちなみに乳児食は一般的に非課税です。

GSTの新ルール

2017年7月から「オーストラリアでの売上高が7万5,000ドル以上の海外ビジネスも、全ての販売商品についてGSTを徴収しなければならない」という新ルールがスタート予定。これは、1,000ドル未満の商品販売について、価格競争の面で海外の小売業者と差が付きやすい国内小売業者の業績が低迷していることを受け、国内外の小売業者に対する税法を統一することを目的としています。この新ルールにより、連邦政府は約3億ドルのGST税収アップを見込んでいます。

新ルールに従い海外の小売業者にGSTを納めてもらうことが簡単ではないと分かっている政府は、明言こそしていないものの、それが成功しなければ、国際法や条約に基づいてルール順守を徹底させようと考えているようです。

GSTの徴収がうまくいかない場合、オーストラリア政府は“最後の手段”として電気通信法を利用し、強制的に電気通信会社の協力を得て公的収入を確保するかもしれません。新ルールに違反する海外オンライン・ショップが確認されれば、オーストラリア政府は法の抜け穴が可能にした特別なパワーを使って、この海外小売店のウェブサイトをブロックすることができるのです。

こうした状況変化の兆候として、Adobe社は2016年12月1日からオーストラリアの顧客に販売する全ての商品・サービスに対して10%のGSTをチャージし始めています。

次号も「海外で利用されるサービスはGST免除?」など、GSTのお話です。お楽しみに。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る