10年ぶりにルーカス・ハイツから使用済み燃料棒搬出

フランスに送り、再処理後の燃料棒と廃棄物返還

 シドニー南方のロイヤル国立公園に近いルーカス・ハイツにはオーストラリア唯一の原子炉がある。この原子炉は発電用ではなく、工業・医療・研究用のアイソトープを作る施設で民間の注文を受けて放射性同位元素を作っている。半減期の短い同位元素もあるため、消費地から近いことが条件になる。

 今年後半、10年ぶりにこのルーカス・ハイツ原子炉から使用済み燃料棒をフランスに向けて送り出すことになっているが、具体的な輸送日や輸送経路は極秘にされている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 オープン・プール・オーストラリア型軽水炉(OPAL)と呼ばれるこの原子炉の炉心は、ホテルのバー冷蔵庫程度の大きさしかなく、オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)という機関が運営している。使用済み燃料棒は原子炉の隣に備えられた小型プール程度の大きさの保管槽に沈められており、これまでにも9回、使用済み燃料棒がフランスのラ・アーグ再処理工場に送られているが、今回は10年ぷりになる。このラ・アーグ再処理工場は世界の軽水炉の使用済み燃料棒のほぼ半数を処理している。

 過去の9回の使用済み燃料棒搬出は、旧型の高中性子束オーストラリア型原子炉のもので、50年間の稼働の後、2007年に廃止された。

 オーストラリア国内の放射性廃棄物保管所は100箇所ほどあるが、シドニー首都圏でも数か所の地方自治体が自町域内の放射性物質輸送を禁じている。また、原子炉や放射性廃棄物の輸送そのものもグリーンピース、地球の友などの団体の抗議行動の対象になっている。

 ANSTOのヘフ・グリフィス氏は、使用済み燃料棒の搬出は1970年以来行われている。それ以来、世界中で25万回の燃料棒輸送が行われてきたはず。安全記録は完璧だ。使用済み燃料棒を収める箱はフル装備のF-16ジェット戦闘機が直接衝突しても放射能を漏れさせないほどの耐久性がある」と語っている。

 一方、地球の友のジム・グリーン氏は、「使用済み核燃料棒の事故は皆無ではない。1990年代にドイツとフランスで起きた放射能汚染事故では、アンゲラ・メルケル首相が両国の間の核燃料の輸送を禁じた」としている。
■ソース
Nuclear waste from Australia’s only reactor ready to be dumped

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