「国際法上現実にはありえない措置」

豪国籍剥奪法案、閣議で反対論

 トニー・アボット首相は、テロリズムに関与した二重国籍者についてはオーストラリア国籍を剥奪する法案を提出する意図を明らかにしたが、オーストラリア単一国籍者に対する措置で閣議が2つに割れていることを認めた。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 ピーター・ダットン移民相が提案し、トニー・アボット首相が支持している案として、オーストラリア単一国籍者がテロ活動に関与した場合にオーストラリア国籍を剥奪するという措置がある。しかし、無国籍者を作ることは国際法上許されておらず、その者が国法に反していれば裁判にかけて処罰するか、国法に反していなければ自由な市民として釈放するしかない。

 5月25日の閣議では閣僚6人がダットン・アボット案に反対の立場を明らかにした。1時間ほどの白熱した議論では、ケビン・アンドリューズ国防相、ジュリー・ビショップ外相、ジョージ・ブランディス法務長官、バーナビー・ジョイス農務相、クリストファー・パイン教育相、マルコム・タンブル通信相が反対したと伝えられている。

 ダットン法案は、テロ活動関与容疑の豪単一国籍者を起訴や裁判なしで移民相の自由裁量で国籍剥奪を可能にするというもので、唯一の容疑者保護の条項として、「豪国籍を剥奪される者が他の国の国籍を申請できる場合に限る」としている。これに対してビショップ外相は、「オーストラリア政府がテロ容疑者として国籍を剥奪した者に国籍を与える国がありえるか?」と疑問を呈している。また、ブランディス法務長官は、「私の任務は法による統治を守ることだ」と反対理由を述べている。また、ジョイス農務相は、「そのために法廷があるのではないか」としており、アンドリューズ国防相は、「閣議でこれだけ問題にされるのだから、国民の間ではもっと大きな問題になるだろう」と語っている。そればかりでなく、閣議では6ページの討議資料が配付されたが通常はもっと前に配布される慣例になっており、これにも閣僚から不満の声が上がっている。また、タンブル通信相は、「26日のデーリー・テレグラフに漏らしたか?」とアボット首相に質問している。ルパート・マードック系のタブロイド紙は保守連合に好意的に報道するメディアで、首相筋の情報がしばしば同紙に漏洩されてきた。アボット首相は漏洩を否定したが、26日朝の同紙は、アボット首相の同日の予定ははっきりと報道している。
■ソース
Cabinet revolt over Tony Abbott and Peter Dutton plan to strip Australians of citizenship

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