グレステ、ABCの言論の自由を擁護

番組発言巡り、政府のABC攻撃に反論

 ABCテレビ放送の討論番組「Q&A」でパネリストの連邦自由党議員と、客席の参加者で、かつてテロ容疑で起訴されたが、陪審の評決で無罪を言い渡された青年の口論が波紋を呼び、保守連合連邦政権閣僚らが一斉にABC放送を批判し、トニー・アボット首相は、「ABCは誰の味方だ?」と発言している。これに対して、青年の発言に批判的ながらも言論の自由としてABC放送を擁護する声も挙がっており、エジプトで逮捕され有罪を言い渡された元アル・ジャジーラ記者のピーター・グレステ氏は、「青年の口を塞ぐことは議論を封じることだ」として、発言の自由を擁護している。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 客席のザキー・マラーとスティーブ・チョボ議員の口論を巡って、アボット内閣閣僚がマラーに発言させたABCテレビを「判断の誤り」と批判しているが、グレステ氏は、「アボット首相の態度は、重要な政策分野で発言を封じようとする悪い癖だ。議論が言論にとどまり、暴力に発展しない限り、これを封じようとするのは間違いだ。徹底した議論が必要であり、Q&Aの議論が一線を越えたとは考えられない」と語っている。さらに、「ジリアン・トリッグズ人権擁護委員長の報告書に対するアボット内閣の対応も同じだった。政府はトリッグズ委員長の提示した問題を議論に乗せることをしなかった。政府は問題を解決することより、問題の指摘を封じようとしてきた。そのことに非常に危惧を感じる」と語っている。

 また、アボット首相は以前にも、「ABCはオーストラリアの側に立たなければならない」と繰り返しており、今回の「ABCは誰の味方だ?」という発言に対しても、グレステ氏は、「ジャーナリストもメディアも、どちらかの側に味方するべきではない。アボット首相の発言では、ABCが政府の政策に疑問を提出するだけで非国民扱いされることになる。愛国的になるということは、政府の政策を真摯にかつ批判的に検討することではないか」と語っている。

 VICイスラム・カウンシルのクランダ・セイイット氏は、「マラーに発言させたのが間違いだ」としている。しかし、カーティン大学の学者で過激化対策問題専門家のアン・アザ・アリ氏は、「マラーの行き過ぎ発言を引き出したのはチョボ政務次官の、『お前のような奴はこの国から放り出せ』という発言だ。これでは売り言葉に買い言葉でしかない。チョボ政務次官は何様なのか? マラーが、政府の政策がムスリムを悪人扱いし、疎外していることが若者をイスラム国に引き寄せる結果になっていると発言した内容は筋が通っている。テロ容疑者の国籍を剥奪するという国の対応はイスラム国の思う壺にはまることでしかない。政府の対応は見事に政略化したが何も解決していない」と語っている。
■ソース
Peter Greste says shutting down Zaky Mallah means shutting down debate

http://www.smh.com.au/federal-politics/political-news/peter-greste-says-shutting-down-zaky-mallah-means-shutting-down-debate-20150624-ghwn3f.html

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