南米ペルーから届いた「日本の味」/それでも恋するメルボルン

それでもするメルボルン

南米ペルーから届いた「日本の味」

3種類のセビーチェ。鯛をレモン汁で和えた「PERUANO」、「Marlin Nikkei」、ヒラマサを使った「Tiradito de Corbina」
3種類のセビーチェ。鯛をレモン汁で和えた「PERUANO」、「Marlin Nikkei」、ヒラマサを使った「Tiradito de Corbina」

昔、「移住」という言葉は「永久に祖国に帰ることはない」ということを意味していた。同胞のいない土地に開拓民として入植した人びとは祖国に思いをはせながら、その土地の食材で懐かしい「母の味」を再現した。1880年代に日本人が移り住んだ南米ペルーには、移民やその子孫が残した味が「Comida NIKKEI(コミーダ・ニッケイ)」という料理のジャンルとなって残っている。しょうゆや日本酒などの調味料を使い、天ぷらや握りずしなど、日本の調理方法で作られた料理を指すそうだ。ペルーの首都リマは南米きっての美食の街で、メルボルンでもペルー料理店「Pastuso」でその味を楽しむことができる。

シティーにあるAC/DCレーンの一番奥、サルサが流れる広い店内は土曜日の夜7時には満席だ。食前酒にはペルー産のブドウの果汁を使った蒸留酒「ピスコ(Pisco)」を使ったカクテルをぜひ。定番のレモン、ライム、砂糖に卵白を加えた「Pisco Sour」など、ラテンの味を11種類から楽しむことができる。料理は「Individuales」「Ceviche Bar」「Calle(Street Food)」「Fuegos-Fire」「Premium Argentine Beef」「Side」に分かれ、日本の居酒屋料理を彷彿させる小皿料理が中心だ。メニューにはところどころに「NIKKEI」「PONZU」「DASHI」という文字が見える。ほとんどの人が頼むという「セビーチェ」は、魚介類をレモンやライムなどの柑橘類と香辛料で和えた国民食で、豊かな漁場を抱えるペルーにはセビーチェだけを出す「セビッチェリア(Cevicheria)」がある。この店では鯛、サーモン、タコ、ヒラマサなど7種類のセビーチェがあり、「Marlin Nikkei」は新鮮なマカジキを唐辛子(Aji Mirasol)と米酢のドレッシングで和えた一皿で、さっぱりとした味付けが日本の味を思わせる。中には、みそや海苔を使った物もあり、魚介類と食材の組み合わせは無限にありそうだ。メインには、部位とグラム数を選ぶ「アルゼンチン産ビーフのステーキ」や「Fuegos-Fire」から。サイド・メニューがおいしく、南米原産のキノアを使ったパン「Pande Quinoa」は、もちもちした食感で完全に日本人好み。南米産の芋「キャッサバ」を揚げた「Yucas」は、ポテトでもサツマイモでもない、ほのかな甘みのある味が新鮮だ。

日本から遠く離れた土地で、移住者たちはどんな思いで和食を作ったのだろうか。南米から届いた日本の味は、なぜか切ない味がする。

■Pastuso
19 AC/DC Lane, Melbourne VIC
営業時間:12PM~12AM(年中無休)
Tel: (03) 9662-4556
Web: www.pastuso.com.au


大木和香
泣いたり、笑ったり、怒ったり、メルボルンで暮らす毎日はいろいろなことがあるけれど、日々発見することがたくさん。2児のママ・エディターが綴る、メルボルンのおいしいもの情報。インスタグラムでは「日々の徒然」や「食いしん坊日誌」を、ブログではメルボルンのお店やライフスタイルも紹介している。
講談社「Mi-mollet」ブログ(www.mi-mollet.com/category/blog-oki
インスタグラム(@waka_melbourne

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