2016年3月 ニュース/総合

インフラ整備の15年計画発表
成長の原動力に−事業の優先順位示す

連邦政府は2月17日、道路や鉄道、空港、港湾施設、通信網などのインフラ整備を進める15年計画を発表した。政府機関「インフラストラクチャー・オーストラリア」が、専門家の助言や知見を元に提言をまとめた。

15年計画は全国93のインフラ事業について精査した。シドニーとメルボルン、ブリスベンの新鉄道システム建設、パースの道路・鉄道整備、シドニー第2空港建設など主な事業は既に発表。目新しさはないが、優先順位を付けた上で財源や投資の方向性を示した。

インフラ整備は「21世紀のオーストラリアの成功に絶対に欠かすことができない」(マルコム・ターンブル首相)との認識から、生産性の向上を経済成長と生活水準の向上につなげる狙いがある。計画の遂行により、2040年までに「平均的な1世帯当たりの所得を年間3,000ドル増やす」としている。

オーストラリアは広大な国土の割に人口が希薄で、公共事業に対する財政支出の制約もあり、高速道路網や近代的な鉄道網、高速インターネット回線などの整備が主要先進国と比べて遅れているとされる。だが、資源ブーム後も経済成長を持続させ、高い生活水準を維持するには、インフラ整備による生産性向上が急務となっている。


人口2,400万人突破

3年で100万人増—豪統計局推計

オーストラリアの総人口が2,400万人を超えたもようだ。1901年の建国時に370万人だった人口はそれから115年間で6.5倍に拡大、これまでの50年間でほぼ倍増した。オーストラリア統計局(ABS)が2月15日に発表した推計で明らかになった。

ABSによると、人口が1,000万人に達したのは建国から58年後だった。64年の時点で100万人増えるのに4〜5年かかっていた。しかし、直近では2,300万人を突破した13年3月四半期からの3年間で100万人増えている。

人口拡大を支えているのは、先進国の中では1.8(15年)と比較的高い出生率と、一定の移民受け入れだ。増えた人口に占める移民の自然増(国内に移住する人の数から国外に移住する人の数を引いた数)の割合は53%(15年)を占めている。

オーストラリアの人口増加のペースは、成熟した先進国としては異例と言える。それでもまだ日本の約20倍の広大な国土に台湾(2,350万人)ほどの人口しかいないが、居住に適さない乾燥した荒野が国土の大半を占めるため、人口が海岸部の大都市に偏っているのが特徴だ。14年のABSのデータによると、シドニーとメルボルン、ブリスベンの3大都市の合計で全人口のほぼ半数、各州都の合計で約7割をそれぞれ占めている。

人口増加率は年率1.4%。平均寿命は男性が80.3歳、女性が84.4歳。年齢の中央値は37.4歳。オーストラリア国内で生まれた人の割合は72%で、4人に1人以上が海外生まれとなっている。

オーストラリアの人口は今後も長期的に伸びていく見通し。ABSは長期的な人口予想で30年に3,000万人、89年に現状の倍の5,000万人(3つの試算のうち中間のBシナリオ)に達すると予想している。


シドニーの夜を楽しむ日本人観光客(Photo: Destination NSW)
シドニーの夜を楽しむ日本人観光客(Photo: Destination NSW)

日本人観光客市場に回復の兆し
15年の渡航者数、2.9%増−新路線就航で

オーストラリアの日本人観光客市場に回復傾向が現れている。オーストラリア統計局(ABS)が2月12日に発表した統計によると、2015年にオーストラリアを訪れた日本人の短期渡航者数は33万5,500人と前年比で2.9%増加した。12月単月では、3万6,000人と前年同月比で12.5%増え、7年ぶりに3万5,000人を超えた。

日本人渡航者数が増加した主な要因について、オーストラリア政府観光局は「昨年8月にカンタス航空が羽田−シドニー線、成田−ブリスベン線を、さらに、12月に全日本空輸が羽田−シドニー線を開設し、航空座席の供給数が拡大したこと」が挙げている。同局は、日本市場の海外旅行需要が低迷している一方で、オーストラリアが旅行先として再び注目され、「シェア拡大につながる兆しだ」と指摘している。

オーストラリアを訪れる日本人渡航者数は1990年代後期に年間90万人を超えた。しかし、需要の縮小や航空路線の減便を背景に2000年代以降は長期的な低迷が続き、ピーク時のほぼ3分の1の水準に落ち込んだ。


サンドイッチ感覚の軽食としてオーストラリア人に親しまれている「スシロール」
サンドイッチ感覚の軽食としてオーストラリア人に親しまれている「スシロール」

日本産食品などの対豪輸出額121億円
5年で倍増—日本食人気追い風に

オーストラリア市場での日本食人気を背景に、日本からの食品などの輸出が伸びている。2015年の日本産農林水産物のオーストラリア向け輸出額(速報値)は121億円と前年比28.1%増加し、前年に続き過去最高を更新した。日本の農林水産省が2月2日に発表した「平成27年日本産農林水産物・食品の輸出実績」で明らかになった。

オーストラリア向けの同輸出額は、国・地域別で9番目に多い。5年連続で増加しており、10年(53億円)の2倍以上に増えた。品目別で最も多いのは清涼飲料水(20億円)。次にソース混合調味料(15億円)、アルコール飲料(14億円)などが多い。アルコール飲料の内訳は、ビール5億円、ウィスキー4億円、日本酒3億円などとなっている。

オーストラリアは人口が約2,400万人と市場規模が比較的小さいため、世界全体への輸出額に占める割合は1.6%にとどまるものの、人口比の需要で見ると食文化の似ている欧米諸国ではトップクラスだ。ただ、オーストラリア政府の検疫規制が厳しいため、日本から輸入できない品目が多いことがネックとなっている。価格が低いオーストラリア産や第三国産の食材で代用できるケースも多く、日本の食品メーカーや生産者にとっては、価格競争力の強化や付加価値の訴求も課題と言える。

世界全体への輸出額も7,452億円と21.8%増え、過去最高を更新した。日本政府は農林水産物の輸出拡大を成長戦略の柱の1つとしている。20年までに輸出額1兆円の目標を掲げているが、中間目標の7,000億円を1年前倒しで実現するなど好調に推移していることから、1兆円達成の前倒しを目指す。


はぐれ人魚、海に帰る
340キロの巨体をNSW州南部から空輸

人魚伝説のモデルになったとも言われる海洋性の哺乳類ジュゴン1頭が2月4日、ブリスベン東方モートン湾に放流された。空軍も参加した大規模な救出作戦から約2週間ぶりに自然の海に戻った。公共放送ABC(電子版)が報じた。

モートン湾から南へ1,000キロ以上離れたNSW州南部メリンビュラの海水湖で、体長2.7メートル、体重340キロのオスのジュゴンが発見されたのは約3カ月前。もともとの生息地は不明だが、何らかの理由ではぐれ、海流に乗って南下して迷い込んだと見られる。

この海域は水温が低く、エサとなる海藻も少ないため、生き残れないと判断された。NSW州国立公園野生動物局と、ゴールドコースト(GC)のテーマパーク「シーワールド」、シドニー水族館、オーストラリア空軍が1月21日、共同で救出。空軍の輸送機でシーワールドに移送され、2週間、暖かいモートン湾に放すためのリハビリを受けた。健康状態が回復したため、4日、シーワールドのスタッフらの手で船に乗ってモートン湾に運ばれ、海に帰っていった。体に送信機が取り付けられていて、放流後も追跡可能という。

ジュゴンはオーストラリアでは北部一帯の湾内などで海藻を食べて生きている。寿命は最大70年程度、メスが一度に産める幼獣も1頭とヒトに近い。成長が遅く、出産間隔も数年と長いことから、沿岸部の自然破壊を背景に世界的に個体数が減少。オーストラリアでも絶滅が危惧される保護種に指定されていて、捕獲は先住民の伝統的なジュゴン漁しか認められていない。モートン湾は約1,000頭が生活しているとされ、国内有数のジュゴン生息地として知られる。

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