アストラゼネカ・ワクチン年齢10歳引き上げを提唱

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NSW州の52歳の女性が2人目の血栓症死者

 連邦政府医学諮問専門家パネルは先に「アストラゼネカ・ワクチンの対象を50歳以上に限定」と勧告し、連邦政府もその勧告を受け入れていたが、勧告直前の4月にNSW州の48歳の女性が「血小板減少症を伴う血栓症(TTS)」で死亡、先週には52歳の女性が脳内血栓で死亡している。

 そのため、専門家からは、「アストラゼネカ・ワクチン接種対象を60歳以上に引き上げるべきではないか」との意見が出てきている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 国内のアストラゼネカ・ワクチン接種回数は360万回。また、そのうち70歳以上は3人で、血栓症発症率は50歳未満では10万回につき3.1回、50歳から59歳までの年齢層では1.9回、それ以上の年齢層では1.8回と徐々に低くなっている。

 NSW州で2人目の死者が出たことを受け、ワクチン・リスクに対する認識を研究している、マードック研究所のマージー・ダンシン准教授は、「オーストラリアはコロナウイルス感染率が非常に低いことを考慮し、アストラゼネカ・ワクチンの対象を60歳以上に引き上げ、50歳から59歳までの年齢層にはファイザー・ワクチンを接種するべきではないか」と主張している。

 先週には連邦政府のポール・ケリー主席医務官が、「アストラゼネカ・ワクチンも血栓症を発症する可能性は非常に低い」として、同ワクチンを忌避しないよう呼びかけていた。

 ダンシン准教授は、「ワクチン接種後4日から30日ほどの間は、頭痛、視力障害、腹痛などに注意すること。これまでのTTS患者の症状から、これらの症状が出れば深刻な結果になることもありえる」と語っている。

 また、Thrombosis and Haemostasis Society of Australia and New Zealandメンバーの血栓症専門家、ユエン・チャン教授は、「血栓症発症率だけではなく、その重症度も考慮すべきだ」として、海外の研究から年齢によって血栓症の重症度が変化することを指摘し、「ヨーロッパやイギリスのデータによると、重症血栓症は60歳未満の人々に多いという結果が出ている。50歳から59歳までの年齢層の血栓症発生率に加えてこの年齢層の重症度も見なければならない。個人的にはアストラゼネカ・ワクチン接種年齢下限を60歳に引き上げるべきだと思う」と語っている。

 この意見に対して、豪医薬品管理局のジョン・スケリット教授は、「全体を見れば、50歳以上と50歳未満ではTTS発症率は大きく違っている」と語っている。
 現在、イギリスではアストラゼネカ・ワクチン下限を40歳、イタリアは55歳、スエーデンは65歳としている。
■ソース
Experts want age limit for AstraZeneca COVID-19 vaccine reviewed after latest death

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