「公共交通機関利用では任意の着用はいいこと」

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連邦主席医務官、マスク着用で考えを軟化させる

 これまで世界保健機関でもオーストラリアの保健機関でも、健康人は公共の場でマスクを着用する必要はない。マスクは患者、それに大勢の患者や潜在的患者と日常的に接する医療従事者が必要とするものというのが公式見解だったが、5月30日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、連邦のブレンダン・マーフィ主席医務官が、「健康人が公共交通機関で任意でマスクを着用することは感染のリスクを少しでも引き下げるのではないか」と発言したことを伝えている。

 マーフィ教授の発言は、全国閣僚会議がマスク着用を義務づける提案を却下したという報道の後に伝えられた。

 マーフィ教授は、「Australian Health Protection Principal Committee(AHPPC)が、公共交通機関内で他の人との距離を取れない時にマスクを着用するというのは決して理屈に合わないことではない」と語っている。

 これまでの公式見解では、健康人がマスクをすることには益はないとされていたが、最近の研究で、コロナウイルス無症状期のマスク着用でウイルスを広げることが避けられることを示している。

 ただし、マーフィ主席医務官は、「マスクで感染を完全に防げるものではない」としており、感染症専門家の「マスクは着用者に根拠のない安心感を与えてしまう」との危惧感を支持している。また、現在のAHPPCの公式見解は、「病気している人は自宅から出ないこと」と勧告している。

 マーフィ教授は、「市中感染率は非常に低いことから、公共の場で常にマスクを着けるということは今も勧められない。AHPPCも、「もし体調が悪い時に、緊急に医療を受けなければならない、などで公共交通機関を利用しなければならない場合にはマスク着用が必要」としている。

 また、NSW大学Kirby Instituteのレイナ・マッキンタイア教授は、5月29日出版の査読論文ジャーナル、BMG Global Healthに掲載された研究論文の共著者だが、その論文の中で、発症前であればマスク着用で79%有効だが、症状が出てしまえば効果はないとしており、「この研究結果は、コロナウイルス感染者と暮らしている複数の中国人家族のデータを基にしており、家族はいずれも家でマスクを着けている。この研究結果は他のオーストラリア人にも有効なはず」と述べている。
■ソース
Chief Medical Officer backs voluntary use of face masks on public transport

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