シドニー大学、人文社会科学大幅カットを計画

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コロナウイルスで海外留学生大幅減少から減収へ

 コロナウイルス蔓延防止のため、連邦政府が中国からの渡航を禁止し、さらに完全に国境を閉鎖したことからオーストラリア第3位の輸出産業である海外留学生の入学が大幅に減少、大学はどこも減収に直面している。

 シドニー大学では国際関係など20コースが閉鎖されることになっており、それとともに臨時職員も解雇される見込みで、これまでの推定でも同大学の人文、社会科学系コースの約8%がカットされるが、それでも当初に予定されていたよりも30%ほど少なくなっている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 ただし、この数字は同大学の6学部の平均であり、教職員は、社会科学、政治科学系では30%近くカットされることになるだろうと見ており。また、言語コースは4%から5%程度のカットとみられている。

 5月29日には学生教職員合わせて100人ほどがこのコース切り詰めに抗議行動を起こしており、マイケル・スペンス副学長宛の公開状を大学の学務課建物の壁に貼り付けている。

 公開状は、「大学のコースが突然大幅に削減されることは、有能で熱心な教職員の解雇でかけがえのない能力が失われ、長期的に大学の教育の質の劣化につながる」と述べている。

 全国高等教育組合のカート・アイブソン支部議長は、「このカットは臨時契約の教職員の教える優れた選択科目と小規模な個人指導型のコースが多く、教職員は失職することになる。その結果、学生が取ることのできるコースは10年前に比べると3分の2に減っており、もうぎりぎりまで削られている」と語っている。

 大学の予測では、人文・社会科学系のコースは学生が21%減り、収入では26%の減収になり、コロナウイルス・パンデミックでもっとも影響の大きい学問分野とされている。

 先週、マイケル・スペンス副学長とアナマリー・ジェイゴース学部長の共同名義で職員に宛てて、「予算は2020年に2,900万ドルの黒字になると予想していたが、現在では6,800万ドルの赤字になることが予想される」と述べている。

 先にウロンゴン大学も法学部、人文学部を他の学部に併合すると発表しており、大勢の教職員が失職することになっている。
■ソース
Students protest cuts to Sydney University’s arts and social science faculty

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