戦争の「棚ぼた」、国民の財布に還元しないよ! オーストラリア財務相、借金返済に充てると表明

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詳細は来週発表の来年度予算案で明らかに

 オーストラリアのジム・チャーマーズ財務相は、イラン攻撃を受けた資源価格の高騰による想定外の税収増について、物価上昇の緊急対策には使わず、政府の債務を縮小させるための財源に充てる方針を示唆した。公共放送ABC(電子版)が4日、報じている。

 ホルムズ海峡の封鎖の影響で、オーストラリアではガソリンや軽油の小売価格が急上昇していて、家計は火の車になりそうだ。その一方で、エネルギー輸出の主力商品である天然ガスや石炭の価格が高騰し、輸出企業の売上高が増え、政府の税収も拡大することが見込まれている。

 2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始後も、世界的なインフレで資源価格が高騰して税収が拡大した例がある。その影響で、政府の財政収支は2年連続で黒字を達成した。

 生活者にしてみれば、税収の上振れ分を物価高対策の減税や給付金に回してほしい。だが、財務相としては大盤振る舞いはせず、借金の返済に充てたい考えだ。

 詳細は、12日に発表する2026-27年度(26年7月〜27年6月)の連邦予算案で明らかにする。

インフレで社会保障手当は1兆円増と試算

 ABCによると、一部のエコノミストからは、税収が今後4年間で当初の見積もりよりも数百豪ドル上振れするとの見方が出ている。

 しかし、チャーマーズ財務相は「大幅な(税収の)拡大は期待していない」と述べ、税収の上振れは小規模にとどまるとの観測を示した。財務相は「5月の予算案は、私たち(労働党政権)の予算案の中で最も責任能力の高いものとなる」と語り、税収の上振れ分を財政赤字の縮小に振り向ける考えを強調した。

 財務相によると、税収は確かに拡大するものの、インフレ圧力の上昇と中東戦争によって「予算案は大きな打撃を受ける」という。例えば、社会保障手当の支出は90億豪ドル(約1兆円)上振れする見通しだとしている。障がい者や失業者、高齢者に支給する手当などは、物価に連動して上がる仕組みだからだ。

 直近3月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同月比で4.6%だった。イラン攻撃前からじわじわと上昇していたが、3月以降のガソリン価格高騰に加え、前年の電気料金補助金が終了した反動もあり、2月の3.7%から一気に加速している。

 政府が物価対策の減税や給付金に踏み込めば、コロナ禍直後のようにマネーが市中にあふれ、インフレに油を注ぐおそれもある。財務相はこうしたリスクを回避しつつ、財政健全化に注力する。

 一方、最大野党・保守連合(自由党、国民党)は、物価高はイラン攻撃の前から労働党政権が作り出したものであり、購買力の著しい低下を招いていると主張。戦争が終わってもインフレはしつこく続くと警鐘を鳴らしている。

◼️ソース

Treasurer to bank tax windfall from Iran war in federal budget(ABC News)

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