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オーストラリアでEV減税法案が成立へ PHEVめぐり与野党妥協

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フリンジ・ベネフィット税免除 企業は1台9,000豪ドルの節税に

Photo: CHUTTERSNAP on Unsplash

 オーストラリアで電気自動車(EV)の普及を促す与党労働党の減税法案が、連邦議会で近く成立することが確実となった。上院でキャスチングボートを握る急進左派のグリーンズ(緑の党)が、与党の修正案を受け入れて賛成に転じた。22日付の公共放送ABC(電子版)が報じている。

 EV減税法案は、5月の連邦選挙で当時最大野党だった労働党が、温室効果ガス削減策の一環として公約していた。選挙で政権奪回を果たした労働党は法案を議会に上程し、年内の成立を目指していた。

 法案が減税対象としている電動車は、電池のみの電力で走る純粋な電気自動車(BEV)、水素の化学反応によって発電した電力で走る燃料電池車(FCV)、充電可能だがエンジンを搭載しているプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の3種類。

 減税策は、①現金以外の福利厚生などの報酬について企業が負担する「フリンジベネフィット税」(FBT)の免除、②輸入EVにかかる関税5%の撤廃の2つ。労働党の試算によると、FBTの免除で企業はEV1台当たり約9,000豪ドル節税できるという。また、関税の撤廃によって5万豪ドルのEVは1台当たり約2,000豪ドル安くなるとしていた。

 ②の関税撤廃は、オーストラリアは既に日本や米国、中国などの主要な自動車生産国との間で自由貿易協定(FTA)を締結していて、既に関税がゼロとなっていることから、実質的な普及促進の効果はほとんどないと見られる。

 一方、②のFBT免除については、EV普及の起爆剤になる可能性がある。オーストラリアでは報酬の一環として社用車を従業員に貸与することが一般的で、新車市場での社用車の需要が大きいからだ。

 最大野党の保守連合(自由党、国民党)は法案に反対。グリーンズは当初、PHEVを免税対象から除外するよう求めて法案に反対していて、年内の成立が危ぶまれていた。強硬な温室効果ガス削減策を主張するグリーンズとしては、化石燃料を燃焼させるエンジンを積むPHEVを減税対象とすることは認められなかった。

 しかし、労働党がPHEVを2025年4月以降、免税から除外する折衷案を提示したため、グリーンズがこれを受け入れて賛成に回ることを表明した。

 法案が成立すれば、減税は新年度が始まった今年7月1日以降に遡って適用される。

■ソース
‘Electric car discount’ to pass parliament, taking thousands off the cost of popular low emissions cars(ABC News)

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