世界的な食糧危機に発展しないか心配! オーストラリア産小麦、最大4割減産見通し

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干ばつと肥料難でダブルパンチ

 ロイター通信が19日報じたところによると、オーストラリア産小麦の今シーズンの生産量は、最大約4割の大幅な減産となる可能性がある。干ばつによる不作が予想されている上に、ホルムズ海峡封鎖による肥料の高騰や供給不足の影響をもろに受けそうだ。

 オーストラリア産小麦は、南半球の秋に作付し、初夏に収穫する「冬作物」。国内各地の穀倉地帯はちょうど今、作付けシーズンのピークを迎えている。オーストラリアは世界3位の小麦輸出国であり、小麦は牛肉と並ぶオーストラリア農業の主力輸出商品となっている。

 ところが、ロイターがまとめたアナリストの分析によると、今シーズンの小麦の作付面積は前年と比べて少なくとも7%から最大20%縮小する見通しだ。最大でベルギー1国と同じ広さの作付面積が減る可能性がある。

 生産量は前年比で16〜41%減少する可能性がある。最大限の減産となった場合、生産量は前年の3,600万トンから2,130万トンまで落ち込む。他の主要小麦輸出国であるアルゼンチンやカナダでも減産が見込まれていることから、世界的な需給がひっ迫し、穀物価格の高騰を招く恐れがあるという。

 悲観的な予想の根拠の1つは、降水量不足だ。主な穀倉地帯の東部ニューサウスウェールズ州や北東部クイーンズランド州では、作付け前に十分な雨に恵まれなかった。また、今シーズンは、「エルニーニョ」の再来が予測されていることもマイナス要因となっている。エルニーニョの年は、オーストラリア東海岸に乾燥と高温をもたらし、干ばつとなるケースが多い。

 オーストラリア気象局(BOM)によると、小麦などの冬作物の生育にとって重要な6月〜9月の降水量は、多くの地域で平年を下回る見通しだ。

 加えて、肥料の供給にも支障が出ている。ロイターによると、オーストラリアは化石燃料を原料とする窒素肥料(尿素)の半分以上を中東から輸入しているが、ホルムズ海峡封鎖の影響で供給が滞っている。現時点で国内には尿素の備蓄量が約60万トンあるが、例年の需要量を約20%下回っているという。

 これからの生育期に恵みの雨が降らないばかりか、肥料の不足や高騰が作柄や生産量に悪影響を与える可能性がある。オーストラリア産小麦が大幅な減産となれば、世界の食糧供給に波及する可能性も否定できない。

 オーストラリア産小麦の凶作が、食糧危機を誘発した例は過去にもある。オーストラリアは2000年代後半、2シーズン連続で史上最悪規模の干ばつに見舞われ、小麦などの穀物生産が大幅に落ち込んだ。これが発端となり、穀物価格の高騰につながったとの説が有力だ。この際、途上国では食糧危機が発生し、暴動が頻発するなど社会不安が広がった。

 オーストラリア連邦政府は現在、輸入企業の損失を政府が保証する枠組みを通して、燃料だけではなく肥料の確保にも力を入れている。アンソニー・アルバニージー首相は19日、ブルネイから農業用尿素肥料3万8,500トンを新たに調達したと発表した。同枠組みの下では、これまでに合計12万5,000トンの尿素肥料を確保した。これとは別に、肥料企業との連携により、インドネシアからも尿素肥料25万トンを調達している。

◼️ソース

Australia’s farmers, hit by Iran war costs and dry weather, grow less wheat(Reuters)

Albanese Labor Government helps secure more jet fuel and fertiliser(Prime Minister of Australia)

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