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オーストラリア政策金利、5月に3.85%で打ち止めか 有力エコノミストが上限予測を下方修正

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市場予測は4月中銀会合で「据え置き」確率93%

シドニー市内マーティン・プレースにある豪準備銀(RBA=中央銀行)本店(Photo: 守屋太郎)

 オーストラリアの有力なエコノミストとして知られるウェストパック銀のビル・エバンス氏は17日、顧客向けの短信リポートで、豪準備銀(RBA)の政策金利のターミナル・レート(到達点)の予測を3.85%に下方修正した。RBAは4月4日の会合で金利を据え置いた後、次の5月2日の会合で0.25ポイント引き上げ、利上げを3.85%で打ち止めとする見通しだという。

 RBAは22年5月以降、3月まで10会合連続で利上げを行い、政策金利を3.6%まで引き上げている。同氏はこれまで、RBAが4月と5月に0.25ポイントずつ2回利上げし、4.1%で打ち止めすると予測していた。

米地銀破綻、金融引き締めにブレーキ

 エバンス氏はターミナル・レートの予測を引き下げた要因として、①RBAのフィリップ・ロウ総裁が3月会合以降、「タカ派的」(金融引き締めに積極的)な姿勢をトーンダウンさせていること、を挙げた。加えて、②米地銀の相次ぐ破綻を背景に、米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融引き締めのブレーキを緩める可能性も指摘した。

 FOMCはこれまで、3月21日・22日の会合で米政策金利を0.5%引き上げる可能性が高いとされた。しかし、米地銀破綻に端を発した金融システム不安を受けて、同金利を据え置くか、利上げ幅を0.25ポイントにとどめるとの見方が浮上している。

 金融システム不安がオーストラリアの実体経済に与える打撃は限定的と見られるものの、米国の金利動向はオーストラリアを含む世界各国の金融政策に大きな影響を与える。同氏によると、RBAの政策は2カ月程度の時間差を置いてFOMCにほぼ追従している。

24年1〜3月に第1弾利下げか

 エバンス氏は5月以降の見通しについて、次にように述べている。

「6月の会合までには、利上げの効果が強く効いてきて、景気は急速に減速してくる。8月の会合前に発表される4〜6月四半期のインフレ統計までは、金融引き締めを遅らせようという流れになりそうだ。そして8月になれば、景気はさらに冷え込み、利上げの圧力は弱まる。世界的な信用不安も経済成長や金融市場に影響を与え、インフレの鈍化がより実感できるようになるだろう」

 その上で、同氏は「24年1〜3月四半期には金融緩和の局面に入る」との予測を改めて示した。

 一方、オーストラリア証券取引所(ASX)が金利先物価格を基準に算出している「RBA金利指標」(17日の取引終了時点)によると、RBAが4月に金利を3.6%で据え置く確率は93%だった。3.35%に引き下げる確率は7%となり、世界的な信用不安の懸念を背景に、利下げ観測もわずかながら浮上している。

■ソース

RBA to pause in April before final rate hike in May, Bulletin, 17 March 2023(Westpac Banking Corporation)

RBA Rate Indicator – April 2023(Australian Stock Exchange)

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