オーストラリアで刑事事件に巻き込まれたら② – 身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第42回:オーストラリアで刑事事件に巻き込まれたら ②

オーストラリアで逮捕されてしまった場合、警察の取り調べに対する対応とその後の手続きの流れについて解説します。

黙秘と捜査協力の義務の違い

オーストラリアで逮捕された場合、あなたには警察の捜査に協力する義務が発生します。もし、警察があなたに「You’re under arrest(逮捕します)」と伝えた場合、速やかに警察の指示に従って取り調べを受けに行かなければなりません。ここで重要なのは、落ち着いて警察の指示に従うことです。感情的になったり、警察官に口答えをしたり、罵声を浴びせたり、ましてや逃走などしてはいけません。私の経験上、素直かつ丁寧に接する以上の解決方法はありません。

警察署に連行されると、警察官による所持品検査が行われます。手荷物やポケットの中身を出すように指示されますが、これらは全てバッグに入れられて後ほど戻ってくるので心配ありません。また、同性の警察官によって服の上から身体検査が行われる場合がありますが、警察官は所定のルールと法律に従って職務を遂行しているだけであり、これらの手続きはあなたの身の安全を確保するための措置でもあります。そのため、不必要に抵抗するべきではなく、素直に協力するのが良いでしょう。

この段階での手続きの一環として、指紋の採取と写真撮影が行われます。場合によってはDNAサンプルの採取が行われる場合がありますが、DNAサンプルの採取には本人の同意が必要となる場合とならない場合が法律上細かく制定されているので、これを拒否できるかどうかについては弁護士にアドバイスを求めるのが良いでしょう。

刑事事件で逮捕された場合、弁護士と会うまでは余計なことを話さないことが重要になります。潔白を証明せずに黙秘を貫くことは何か後ろめたいことがあるからだと思われがちですが、法律上そのような解釈は行われません。

警察の取り調べで一度自身に不利な供述などをしてしまった場合、その後その供述を覆すことは並大抵のことではなく、裁判においてその供述が重視されて不利な判決が出されてしまう可能性もあります。警察での取り調べにおける供述が、後々重大な意味を有する可能性があることから、万が一逮捕された場合には、弁護士と会うまで余計なことは話さないことが重要になります。ほとんどの警察官が質問には回答して当然という態度で接してくるので、もし揚げ足を取られるようなことや回答に困ったら、「弁護士に相談してから回答したい」と伝えると良いでしょう。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後14年以上にわたって訴訟を中心に応対

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