【税とビジネス】タックス・リターン申告は急がない方が良い――特に今年は

タックス・リターン申告は急がない方が良い――特に今年は

2019年度のタックス・リターン申告が始まりました。タックス・リターンがよく分からない、収入の把握に自信がない人には、7・8月の早い時期での申告をお勧めしていません。8月ごろになると登録税理士が、ATO(豪州国税局)に報告された収入情報にアクセスできるようになり、詳細の入手・照合が可能になります。これにより忘れている収入などの申告漏れを防ぐことができるためです。しかし、19年度は申告を遅らせるべき別の理由があります。

「シングル・タッチ・ペイロール」元年

18年7月から従業員が20人以上の雇用主はシングル・タッチ・ペイロールという給与報告方法が義務化されました。20人未満の雇用主は19年7月から強制となります。これは雇用主側のビジネスの税務の問題ですが、働く側にとって変わるのは、この制度を採用している雇用主の元で働いた場合は今までのPAYGペイメント・サマリーがなくなり、代わりに“Income Statement”というものになる点です。

今年度のタックス・リターンでは、18年7月から従業員が20人以上の会社に勤めていた場合はPAYGペイメント・サマリーがありません。20人未満の雇用主でも自主的に早めに18年7月からシングル・タッチ・ペイロールに対応している雇用主もいるので、その場合は同様にPAYGペイメント・サマリーはありません。そして、シングル・タッチ・ペイロールが全雇用主強制になる20年の会計年度からは、PAYGペイメント・サマリーが完全撤廃となり、雇用主がシングル・タッチ・ペイロールの準備ができたら、税理士の所に手ぶらで行くか、「MyGov」でATOと直接データを取引することになります。MyGov登録は特に必要ありません。これに伴い、混乱が予想されます。雇用主がシングル・タッチ・ペイロールできちんとATOに申告をしていないと、タックス・リターン申告ができません。従って、シングル・タッチ・ペイロール元年の今回は、少し待ってから申告することがお勧めなのです。

低中所得者税控除

25年会計年度までの段階的減税政策の一環として「Low and Middle Income Tax Off set」(低中所得者税控除)という新しい税控除が18/19年連邦予算案で決まりました。また、この税控除の金額が上がることが19/20年の連邦予算案で決まりましたが、正式に法律としては可決しておりません。この税控除の増額の正式可決前にタックス・リターン申告すると、この増額を加味しないで処理されてしまいます。一応ATOは、正式可決後にATO側で自主的に修正すると発表していますが、ATOも完璧ではないので、何が起こるか分かりません。


賀谷祥平
競馬騎手、豪州公認会計士、米国公認会計士、登録税理士。James Cook University MBA、University of New England会計学修士、上智大学経済学部卒。2001年上智大学在学中に、騎手を志し豪州の競馬学校に入学。03年、NSW州Coffs Harbour競馬場にて騎手デビュー。現在はNorth QLDで騎乗している。
Web: www.facebook.com/shoheikayawww.ezytaxonline.com.au/ja

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