加工肉の摂取は適度に

「WHOによる発がん性の指摘、加工肉排除につながるべきではない」―豪専門家

 世界保健機関(WHO)の専門研究機関である国際がん研究機関(IARC)が、世界各地で実施された約800件の研究結果を分析し、「加工肉の摂取が結腸または直腸のがんの発症を引き起こす十分な証拠」があると報告した。この研究結果について、オーストラリアがん評議会の科学アドバイザー長で、IARCの委員長を務めるバーナード・スチュワート教授は、「この報告が加工肉の完全な排除につながるべきではない。必要なのは適度な調整」と説明している。公共放送ABC(電子版)が報じた。

 IARCの報告によると、1日あたり50グラムの加工肉を毎日食べた場合、結腸または直腸のがんの発症リスクが18%上昇するという。加工肉に分類されるのは、塩漬け、乾燥、発酵、燻製などの加工が施された肉類で、ホットドッグやソーセージ、コーンビーフ、ビーフジャーキー、肉の缶詰、肉を主原料としたソースなどが含まれる。IARCは加工肉を、タバコやアスベストと同様の「発がん性物質」であるグループ1に分類。また、加工されていない牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、ヤギ肉などの赤肉も、「おそらく発がん性がある」とするグループ2Aに分類している。

 スチュワート教授によると、加工肉ががんの発症リスクを高める原因は未だ解明されていないという。加工時に使用される特定の薬品は、以前からの懸念により使用量が減少している。同教授は「加工食品を食べた際の消化器官内での作用が、化学物質の発がん性を高めている可能性がある」としている。

 自身もハムやサラミ、ベーコンなどを好み、時々はステーキも食べるというスチュワート教授は、「(加工肉や赤肉を)まったく食べないのではなく、摂取量を減らす」ことを勧めている。加工肉や赤肉を「ほぼ毎日、または非常に高い頻度で」食べている場合は、それらの食品の一部を推奨摂取量に基づいて鶏肉や魚、可能であればベジタリアン食に置き換えることが望ましいという。

 IARCの報告は、食肉業界を中心に議論を呼んでいる。同業界は「肉類はバランスの取れた食事の一部であり、がんの発症リスクは環境やライフスタイルも含めて広範囲に分析されるべき」と主張。また、栄養士などの専門家も、適量であれば肉の摂取ががんの発症につながる可能性は低いとの見方を強調している。

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