「貧乏人は金持ちより30%高い学費」

学費ローン設計者が保守連合批判

 現在、保守連合連邦政権が抱えている「大学学費自由化、HECS返済利率引き上げ、返済基準所得引き下げ」などは裕福な世帯の子弟を優遇し、低所得世帯出身学生に不利となる制度との批判がすでに出ている。これに対して、クリストファー・パイン教育相は、「誰でもHECSで大学に入れる」と反論していた。

 しかし、世界的にも評価の高いHECS設計者の教育経済学者、ブルース・チャップマン教授が政府案の厳密なモデル化研究を行い、その結果、保守連合政権案は非常に不公平な改革案であり、HECSの目的そのものに反する。低所得HECS卒業生は高所得のHECS卒業生に比べ、生涯で30%も多く返済しなければならなくなると語っている。

 チャップマン教授は、政府に対して、制度改定原案を修正し、低所得HECS卒業生の返済額を引き下げ、社会的不公平を少しでも是正するよう求めている。政府原案は上院を通過するためにかなりの妥協をしなければならず、このチャップマン教授の提案が政府にとっては渡りに船となる可能性がある。トニー・アボット保守連合政権の政治家はアボット首相を初めとしていずれも腰の高い人物揃いで野党や弱小政党との妥協は苦手との評価がある。

 チャップマン論文はANUのティモシー・ヒギンズ教授との共同論文で、年収$40,000までのHECS卒業生の場合、年収$60,000になってから返済を始めたとして生涯返済額は$105,000になる。これに対して年収$60,000から$87,000のHECS卒業生の場合生涯の返済額は$75,000どまりとなり、低所得者よりも$30,000少ない。しかも、保守連合政権は、HECS返済利率をインフレ率ではなく、常にインフレ率を上回る国債利率に維持すると決めている。

 特に低所得者の場合、返済期純所得になるまで遅れるため、実質利率は複利で急速に膨れあがっていく。また、HECSを受けたが学位を取れなかった場合にはもっとも厳しい負担を強いられる。チャップマン教授は、「長期債利率を適用すること自体逆累進的になり、とても公平とは言えない。HECS設立の目的は大学進学者の経済的負担を軽減し、低所得者層も大学に行けるようにすることが目的だったのにそのもっとも肝腎な部分を取り除いてどうするのか」と語っている。(NP)

http://www.smh.com.au/federal-politics/political-news/unfair-poor-graduates-to-pay-about-30-per-cent-more-than-rich-under-abbott-governments-university-interest-rate-fee-changes-20140731-3cvi6.html

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る