皮膚細胞から腎臓細胞を培養

幹細胞リプログラムで再分化

 メルボルンの研究者、成人の皮膚細胞から幹細胞をつくり出し、さらにリプログラムして培養皿の中で腎臓細胞を増殖させることに成功した。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 この小型腎臓には、濾過細胞や血管もあり、胎児の体内で腎臓が成長するのと同じように成長していた。この研究を手がけたメルボルンの「Murdoch Childrens Research Institute」のメリッサ・リトル教授は、「短期的な目標としては、成長した腎臓のレプリカをつくり、培養器の中で薬品が腎臓に有害かどうかを試験するのに用いることができる。また究極的には臓器ひとつまるままの生体工学が可能になることを期待している。

 リトル教授と同僚は以前の研究で、腎単位と呼ばれる、血流を濾過し、尿をつくる腎臓内の最小機能単位をひとりでに形成する腎細胞を造り出すことに成功している。研究チームは、成長因子と呼ばれる、胚性幹細胞が異なる細胞タイプに成長することを促す多種の化学物質を精密に組み合わせることで実験に成功した。

 Nature誌に掲載された研究論文で、教授の研究チームは皮膚細胞でも線維芽細胞と呼ばれる種類の細胞を腎細胞に成長させることに成功したことを明らかにしている。そのために、成体線維芽細胞をリプログラムして人工多能性幹細胞(iPS細胞)に作り替え、このiPS細胞が胚性幹細胞同様に機能し、人体のどの細胞にでも分化できるようになるというもの。

 リトル教授は、「今回成功した研究では、すべてたった一つの幹細胞から10種から12種の異なる細胞に発達し、それらが小型腎臓を形作っている。以前の研究では、培養皿の上に平面的に構成するだけだったが、今回の研究では5mmから6mm程度の大きさで100ほどの濾過単位で立体的に構成され、血管も形成しかけている」と述べている。

 また、「この小型腎臓を腎毒性物質にさらすと損傷を起こすことも突き止めた。これはこの小型腎臓がまさしく腎臓として機能していることを示すものだが、さらに研究を続ける必要がある」と述べている。
■ソース
Kidneys in a dish: Scientists reprogram adult skin cells to make mini kidneys

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