タスマニアン・デビルの母乳がスーパーバグに効果か?

未熟児を産む有袋類が抗菌性のペプチドを分泌

 様々な抗生物質に耐性を持つ細菌、いわゆるスーパーバグがいつかすべての抗生物質に追いついてしまえば、その感染を治療する方法はなくなり、人類の危機が訪れるとさえいわれている。そのため、従来の抗生物質とは異なるアプローチも研究された。オーストラリアでもシドニー大学などの3年越しの研究の成果が「Scientific Reports」に掲載された。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 研究グループは、タスマニアン・デビルのゲノムを解析し、6種類の天然抗菌性ペプチドを発見した。現在は、その抗菌性ペプチドを人工的に再現増殖させる試みが続けられている。その次のステップとしては、実際に細菌を死滅させられるかどうかの試験が行われることになる。

 有袋類の子供は21日くらいで未熟児として生まれるため、子供の免疫系発達のために母乳が何らかの役割を果たしていることは予想されていた。しかし、これほどのものになるとは思われていなかった。

 Golden Staphとも呼ばれる黄色ブドウ球菌は人口の約30%が鼻や皮膚に常に持っている菌であり、普段は無害だが傷口などから血流に入ると致命的になることがある。この菌で抗生物質に耐性を持つ株が増えており、メチシリンに耐性を持つものをMRSAと呼んでいるが、タスマニアン・デビルの母乳に含まれているペプチドがこのMRSAを死滅させた。

 タスマニアン・デビルの母乳に含まれているペプチドはカテリシジンと呼ばれる抗微生物ペプチドの一種で、人間の白血球の免疫細胞から1種が分離され、抗微生物ペプチドの存在そのものは以前から知られていた。今回タスマニアン・デビルの母乳には6種が含まれていることが突き止められた。また、ポッサムからは12種、ワラビーからは8種が見つかっている。

 オーストラリアの有袋類の特殊な生態系がこのような抗微生物ペプチドを作り出すように進化したと見られているが、今後このペプチドの研究によってスーパーバグに対抗する薬剤の開発に弾みがつくものと期待されている。
■ソース
Devil’s milk could be the killer ingredient in war on superbugs

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