【特集】ラーメンからフォー、ラクサまで「冬の温か麺」特集

ラーメンからフォー、ラクサまで「冬の温か麺」特集

温暖気候のシドニーもいよいよ冬本番。寒い日が続く中、日本のラーメン店はじめ、街中のヌードル・ショップに列が目立つ季節に突入した。日本人の目線から見れば近年ラーメン店が増えていることに気が付くが、より広い視点から見れば麺料理市場全体の人気が高まっているように見受けられる。本紙では例年冬の初めのこの時期に、ラーメンにフォーカスした特集をお送りしてきたが今年は裾野を広げ、アジア各国の麺料理も含めた特集を展開する。
※本特集はシドニーの市場にフォーカスした特集です

シドニーの麺事情 厳選シドニー・麺料理店①▶▶▶
厳選シドニー・麺料理店②▶▶▶ 厳選シドニー・麺料理店③▶▶▶

まだまだ続くラーメン・ブーム

「冬の温か麺」と冠した今回の特集だが、本紙読者の皆様の関心はやはり日本のソウル・フードとも言うべきラーメンではなかろうか。シドニーのラーメン業界はここ数年でさらに成熟してきた感がある。豚骨スープのラーメンを中心に広がりを見せてきた市場に、スープで言えば魚介系しょうゆやみそ、塩、あるいは鶏白湯などさまざまなバリエーションを各店で選べるようになった。また、王道のラーメンに加え、つけ麺、油そばなど、ラーメンの亜流とも言われるメニューも加わるなど、まだまだ数は少ないとは言え、幅の広がりを見せている。

世界展開の大型チェーン店、博多一風堂のオープンはじめ、新店が続々オープンと話題に事欠かなかった数年前に比べると落ち着きを見せてはいるが、それでもなお新店オープンの波は続いている。

この1年でオープンした日系の有名どころで言えば、シドニーCBDの行列点として知られる「めんやシティ」オーナーの中塩史朗氏がシドニー西郊グリーブに新店「ごくう」をオープン。東京でもブームとなっている「ロースト・ビーフ油そば」などのメニューを提供し話題となっている。

また、日本のテレビでラーメン対決番組などにも出演したことのある有名ラーメン・シェフ・翁和輝氏の手掛ける「翁さんラーメン」もロケーションを変え、2017年頭にリニューアル・オープンを果たした。豚骨スープを前面に据え、九州の有名ご当地ラーメンの1つ、久留米ラーメンや、横浜発祥で人気の家系ラーメンなど、豚骨系人気メニューが揃い踏みとなっている。また同店ではラーメンに加え、シドニー在住のうどん職人がこだわって打ったうどんも提供しており、隠れた人気メニューとなっている。

その他にもチャイナタウン至近で人気の「ずんど」では昨年頭に弊紙と共同開発した油そばや同店の人気メニューのつけ麺も引き続き人気を誇るなど、ラーメンから派生したメニューも順調だという。ラーメン市場の裾野のますますの広がりに期待したいところだ。

チャイナタウンではアジア各国の麺料理を楽しむことが出来る(左)、チャッツウッドのウエストフィールドにも各国の麺料理を楽しめるフード・コートが(右)
チャイナタウンではアジア各国の麺料理を楽しむことが出来る(左)、チャッツウッドのウエストフィールドにも各国の麺料理を楽しめるフード・コートが(右)
毎年10月ごろ、ハイド・パークでは「ナイト・ヌードル・マーケット」が開催される(左)、年明け早々、グリーブに新ラーメン店「ごくう」をオープンした中塩史郎氏(右)
毎年10月ごろ、ハイド・パークでは「ナイト・ヌードル・マーケット」が開催される(左)、年明け早々、グリーブに新ラーメン店「ごくう」をオープンした中塩史郎氏(右)

アジア各国の麺料理

シドニーでは毎年10月になるとハイド・パークで「ナイト・ヌードル・マーケット」というイベントが開催される。イベント名こそ「ヌードル」だが、実際には屋台料理などさまざまなアジアのB級グルメを味わえるイベントとして知られている。イベント名が「ヌードル」にフォーカスしているのは、やはりアジアの代表的な料理の印象がヌードルに集約されているからであろう。

私たち日本人にとって、ヌードルと言えばまずはラーメン、続いてうどんやそばと続くだろう。ラーメンは先述した通り当地での認知度も高まっているが、うどん、そばに関してはまだまだと言ったところが実情ではなかろうか。ただ、そのラーメンもローカルの人びとにとっては、アジアの麺料理の1つという認識に過ぎない。シドニー・モーニング・ヘラルド紙などローカル紙のグルメ・コーナーでヌードル特集などが組まれることがあるが、その際も数あるスープ・ヌードルの中の1つとしてラーメンが混ざっているという扱われ方が実際のところだ。

シドニー、チャイナタウンなどアジア系の店が多く集まるエリアを歩くと、実に様々な麺料理があることに改めて気付かされる。中でもよく見かけるのは、マレーシア、シンガポール、インドネシアなど、東南アジア発祥のラクサだ。ラクサはスパイスの利いたカレー風味のスープにココナッツやその他スパイスを利かせた濃厚な麺料理だ。麺もつなぎに卵を使ったエッグ・ヌードルや米粉の麺などいろいろ選べることも多く、また、店によってはさまざまな太さの麺をミックスして出しているケースもある。ラクサは地方によって味や麺、トッピングの具材なども異なるため、それこそバリエーションは枚挙に暇がない。ラーメン同様、研究すればするほどその深さに気付くことが出来るだろう。

リニューアル・オープンを果たした「翁さんラーメン」のシェフ、翁和輝氏(左)、セントラル駅近くのオフィス・ビルにもラーメン店がオープンしていた(右)
リニューアル・オープンを果たした「翁さんラーメン」のシェフ、翁和輝氏(左)、セントラル駅近くのオフィス・ビルにもラーメン店がオープンしていた(右)
ヘイマーケットの新フード・コートにもオープンする
ヘイマーケットの新フード・コートにもオープンする

また、台湾を代表する麺料理・牛肉麺(ニューローミェン)も近年人気の高まりを見せているようだ。牛肉麺のスープには大きく分けて2種類あり、それぞれ「紅焼(ほんしゃお)」スープと「清燉(ちんどぅん)」スープと呼ばれ、どちらも基本は牛骨スープ。前者はしょうゆや砂糖、酒、生姜、ニンニク、ネギなどさまざまな食材、更に漢方類、八角なども入っており辛めのスープとなっているのが特徴。一方、後者はシンプルな牛骨スープで花椒、胡椒などで味付けされた薄味のスープ。どちらもじっくりと煮込んだ牛肉がトッピングとして載せられる。

この肉の味付け具合や軟らかさなどが、牛肉麺の味を左右することになるため、各店の腕の見せ所とも言えるだろう。麺は小麦をベースにしているため、うどんを想像すると分かりやすい。よく見かけるのは稲庭うどんのような中太麺だが、刀を使って削った太めの刀削麺をはじめ、麺のバリエーションもさまざまだ。

また、近年健康志向で日本でも人気が高まっているのがベトナムの代表的な麺料理フォーだ。現地では3食フォーを食べることもあるほど生活に密着したメニューだと言われている。鶏や牛肉から取ったあっさりとしただし汁を使ったクリアなスープが特徴で、そこに米粉で出来たライス・ヌードル、ゆでた鶏や牛の薄切り肉、フィッシュ・ボールなどをトッピングする。

パクチーなどハーブや生野菜が別添えで出されるケースが多く、好みで載せて食べる。基本的に薄味のため、食べながらナンプラー(魚醤)やヌクチャム(魚醤に唐辛子や刻みニンニクなどを漬けたベトナムの万能ダレ)や唐辛子などを加え、味の変化を楽しみながら食べるのが一般的だ。

その他、チャイナタウン至近、シティー南部にあるタイ料理店が立ち並ぶ通称タイ・タウンでは、日本人にも人気の米粉で出来たヌードルを炒めたパッタイや、5ドル程度と非常に安価で食べられるボート・ヌードルなどさまざまなタイのヌードルを楽しむことも出来る。

これほど数多くの世界の麺料理が一堂に会しているのも多文化共生の街、シドニーだからこそ。この絶好の機会に一度、世界各国の麺料理にトライしてみてはいかがだろうか。

ミニコラム

日本のラーメンのトレンドは?

油そばブームの火付け役として知られる東京麺珍亭本舗の油そば
油そばブームの火付け役として知られる東京麺珍亭本舗の油そば

1980年代、東京・環七の豚骨ラーメン店「なんでんかんでん」がきっかけになり、東京を中心に日本では豚骨ラーメン・ブームが巻き起こった。その後、博多一風堂を始めとした地方の名店が続けざまに東京に進出、また東京豚骨ラーメンという通称で豚骨しょうゆラーメンが人気を博すなど、ラーメン・ブームは豚骨スープを中心に推移して来た。

しかし、90年代半ばになると青山「麺屋武蔵」、中野「青葉」など魚介系のしょうゆラーメンなどを始めとした別の個性を持つ名店が増えると共に市場は多様化し始め、その後旭川ラーメン、和歌山ラーメン、徳島ラーメンなどご当地ラーメンも続々表舞台に出てくるようになった。

その後、横浜家系ラーメンや二郎系など店名に端を発したラーメンが系統の1つとなりブームに。今や全国に系列店、あるいは両者のコンセプトにインスパイアされた類似店を多く見かけるようになった。そんな中、近年、新たなブームとなったのが鶏ベースのこってりスープ、鶏白湯スープ。2005年ごろから現れ始め、その数をどんどん増やしている。また、「東池袋大勝軒」が発祥として知られるつけ麺にも注目が集まるようになった。以前より、いわゆる冷やしうどんやそばなどと同じイメージの細麺&醤油ベースのつけだれのつけ麺はあったがこれを機に太麺、こってり系つけだれが業界のスタンダードとなった。

更に近年はスープがなく、たれを絡めて食べる油そばもその存在感を大いに高めている。スープがないため、総カロリーが低く女性にもファンが多いという。

現在、ラーメンで人気を集めているのはこれまでのこってり路線とは一線を画す端麗系と呼ばれる一派。透明な塩スープなど、見た目も美しく、健康志向とも相まって人気を高めているという。

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