フィジオセラピストに聞こう!/ホルモン性頭痛

フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

第84回 ホルモン性頭痛

6月号からご紹介してきた頭痛シリーズですが、5回目の最終回はホルモンの上下変動により起こるとされているホルモン性頭痛についてです。

一般的によく見られるのは、生理の初日、もしくは、その10日ほど前(排卵時)に突然頭痛が起こり、数日間頭痛を抱える、それをほぼ毎月のように繰り返すというケースです。ホルモン性と診断される頭痛は、緊張性頭痛に次ぎ、多く訴えられている頭痛です。

実に25%の女性が生理の周期に伴い偏頭痛を経験したことがあり、その中でも60%の人は3度の生理の周期のうち2回は頭痛が起こると答えています。

本当にホルモンが原因なのか?

長い間、ホルモン性頭痛は体内のホルモンの変動により、血管が弛しかん緩・収縮し頭痛が起こるというメカニズムで説明されてきました。それが事実であれば、ホルモンは体全体を血液と共に流れるため頭部全体に痛みが出るはずです。

しかし、多くの生理周期に合わせて頭痛を訴える人は、痛みが頭の片方に強く出たり、頭痛が発症している最中でも痛みの箇所が移動したりすると言います。

また、頭痛の発生箇所を変えることができるのは脳だけです。つまり、ホルモン変動は頭痛発症の引き金にはなり得るが原因ではないと考えられます。

この事実を踏まえ、更に研究を進めると、ホルモン性頭痛になる女性とならない女性のホルモン値に違いはありませんでした。

6月号から一貫してお伝えしていることは、姿勢が慢性的に悪く、特に猫背や下を向いている時間が長くなると首に掛かる負担が増え、これにより頸けいつい椎の機能が低下します。

特に上部頸椎は脳幹(脳の最下部)のすぐ近くに位置しているため、脳幹は上部頸椎の機能障害の影響をじかに受けて過敏になります。

本来ならホルモンの変動による血管の弛緩と収縮は普通のことですが、過敏になった脳幹はこの変化を異常な状態と誤認してしまいます。そのため、頭痛を起こして私たちに警鐘を鳴らすのです。

ホルモン性頭痛も治療で改善する

ホルモン性頭痛の場合でも、上部頸椎の治療を行い、正しい姿勢を保つためのリハビリと運動療法を行うことで、脳幹の感度を正常に戻すことが可能です。

その結果、ホルモンの変動に脳幹が反応しなくなります。毎月の憂ゆううつ鬱を軽くするためにも、生理の周期に関係なく頭痛が発生しない体作りを今から始めてみましょう。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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