フィジオセラピストに聞こう!/足の付け根やひざの痛み

フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

第85回 足の付け根やひざの痛み

ふとした時に足の付け根が痛む。突如、膝が内転したように感じ、痛みと不自然さを感じる。歩いた時に引っ掛かるように感じたり、伸びた時に刺すような痛みが突発的に起こる。寝返りを打つ時に、足の付け根やひざに痛みが出ることもある。

上記のような痛みがあったりなかったり、また痛みの出方もさまざまでパターンがつかみにくい、しかし、いつの間にか痛みが戻ってくる。こうした症状を経験されたことはありませんか。このような場合、骨盤周辺の筋肉のバランスが崩れてきている可能性が高いと言えます。特に多く見られる症状には、以下のものが挙げられます。

  • 普段から横向きに寝る
  • 妊娠中である
  • 産後、添い寝や添い乳の時間が長い
  • 慢性的な運動不足、3階程度の階段を上るとつらく感じる
  • お尻に力が入らない、力を入れる感覚が分からない
  • 歩幅が小さく、細かくステップするように歩く

臀部(でんぶ)の筋肉は3層構造で、最も内部にある筋肉は小臀筋(しょうでんきん)、その上に中臀筋(ちゅうでんきん)、そして表層部に大臀筋(だいでんきん)があります。日常生活で歩いたり、階段の上り下りなど体を動かすことが少なく、骨盤の後部に位置するインナー・マッスルである小臀筋と中臀筋をうまく使えずに日々を過ごしていると、筋肉が弱くなります。そして、それを補おうと骨盤の前部にある股関節屈筋に負荷が掛かりすぎ、足の付け根に痛みが出ます。また股関節周辺の神経など、緊張を高めた股関節屈筋が神経をつまんでしまい(インピンジメント)、足の付け根・股関節に痛みが出ることもあります。表層にある大きな筋肉である大臀筋が弱くなりパンパンに緊張すると、骨盤の前部と後部の筋肉のバランスが変わり、股関節に掛かる圧が上がることによって足の付け根に鋭い痛みを断続的に感じるようになります。

治療法は、3つある臀部の筋肉のどれがどの程度、機能低下しているかにより異なります。第一に、長年使われずに眠っている筋肉がある場合はそれを目覚めさせます。これをフィジオセラピストの指示の下、正しい角度、強度で動かすことで筋肉が目覚めます。痛みがそれほど強くない人は、この運動療法を行うだけでも治るケースがあります。第2段階として、第1段階を発展させ、意図した時に意図した局所の臀筋をスイッチ・オンできるようにアクティベーション・トレーニングを行います。これにより正しく筋力アップすることが可能です。最終段階は正しく運動療法を繰り返すことで筋力を付け、再発しない体作りを行います。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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