【QLD】教育特集 移り変わるQLD州の教育制度 子どもに合う理想の学校選び①

近年、クイーンズランド州の教育制度では、オーストラリアン・カリキュラムへの切り替えや、2020年からのOP評価の廃止に伴う新たな進学考課査定の見直しなど、大きな改正が行われている。この背景には、時代と共に細分化されてきた学習科目に対応し、他州との教育格差を積極的に縮めていくという目的がある。そのような変化を続けるクイーンズランド州の学校教育について、就学中またはこれから就学する子どものいる家庭に向けて、現況をまとめた。(文=堀千佐子)

教育制度の改正の背景

オーストラリアの教育制度は、各州都の教育行政部門(The Department of Education and Training)が管轄しているため州都ごとに特徴があり、学校教育制度も多少異なっている。しかし、各州とも国レベルでの大枠に従い、教育改革方針にも準拠して教育行政がなされている。

2008年から始まった全国レベルでの学力考課テスト「NAPLAN(The National Assessment Program —Literacy and Numeracy)」の実施に伴い、クイーンズランド州では柱となる学習内容とその教育課程において、クイーンズランド・カリキュラムから全国統一基準のオーストラリアン・カリキュラム(Australian Curriculum)への移行が進んだ。その結果、14年から「コア・サブジェクト」と呼ばれる主要科目(英語、数学、科学、地理、歴史)において、オーストラリアン・カリキュラムが導入され、現在、全国各州都とほぼ同じ内容の学校教育が実施されている。15年からは、小学校に当たるプライマリー・スクールの範疇(はんちゅう)だったイヤー7(7年生)の学年は、中学・高校に当たるセカンダリー・スクール枠に組み込まれ、国の標準教育となるオーストラリアン・カリキュラムに対応するために大きく改正がなされた。

また20年からは、大学及び高等教育へ進学するための考課査定である「Overall Position」(以下、OP)が廃止され、「Australian Tertiary Admission Rank」(以下、ATAR)による評価システムが新しく導入されることが決定している。クイーンズランド州内で1992年から適用されているOPシステムは、1から25までというバンド幅が大きな評価であるため、時代と共に科目の細分化が進んでいる現状に、今後適応することが不可能であると判断されたからだ。21世紀を担う子どもたちの将来を決定付ける大切な進学コースの確定には、スケーリングと0.05数値刻みでの細かなランク付けができるATARのシステムが必要不可欠で、これによって、他州と同様により正確で公正な評価を下すことができると言われている。

この新しいシステムは19年にイヤー11(11年生)になる学年から適用され、この生徒たちが20年に初めて新システムの下でイヤー12(12年生)を卒業する学年となる。

学校教育制度の概要

クイーンズランド州の大学までの通常の学校制度は、キンディ/プリ・プレップ(保育園、幼稚園)、プレップ(準備教育)、プライマリー・スクール(小学校)、セカンダリー・スクール/ハイスクール(中学・高校)に分かれ、セカンダリー・スクールは厳密に言うと、ジュニア・セカンダリー(ミドル・スクールとも言う)とシニア・セカンダリー・スクール(シニア・スクールとも言う)から構成されている。

学年は、プライマリー・スクールからセカンダリー・スクールを卒業するまでの12年間を通して数えられ、小学校1年生に値する「イヤー1」(Year One)から、高校3年生に値する「イヤー12」(Year Twelve)まで「イヤー○」と呼ばれる。17年からプライマリー・スクール入学前のプレップ・イヤーが義務づけられ、大学入学までの学校教育は13年を通して行われる。ただし義務教育は、プレップからイヤー10までの11年間になる。その年の6月30日までに5歳になる子どもはプレップに入学することができ、週5日の午前9時から午後3時までのフルタイム・プログラムなので、子どもの成長度合いに合わせて1年間だけ学年を早めたり、遅くしたりできる選択肢が設けられている。

1学年は4学期制で、学期はターム(Term)と呼ばれる。通常1タームは10~11週間で構成され、各タームの間にスクール・ホリデーが挟まれる。新学期は1月下旬から始まり、その年の12月中旬で学年度が終了する。

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QLD州の学校教育制度

参考ウェブサイト
■Web: www.qcaa.qld.edu.au
■Web: www.australiancurriculum.edu.au
■Web: education.qld.gov.au

知っておくと役立つ実用情報

クイーンズランド州の教育制度の現況を把握したことに加え、子どもを持つ保護者が知っておくとためになる実用的な情報を下記に紹介する。

サステイナブル・スクール・ショップ(Sustainable School Shop)

転校や子どもの成長で、着られなくなった学校の制服や使い終わった教科書、計算機、スポーツ用具、楽器など、セカンド・ハンドのスクール・アイテムを個人で売買できるオーストラリア最大のウェブサイト。オーストラリア国内の400校以上が参加している。

このサイトを通じてセカンド・ハンド・アイテムを売買するには、まずオンライン上で無料登録を行う必要がある。買う場合、自分の求めているアイテムを無料で検索することができ、アイテムの売値やコンディション、年代(本であれば改訂年度)、売り主の連絡先、住んでいるエリアなどを一覧で比較検討できるのが利点だ。一方、売る場合、1点につき1.50ドルの広告手数料を支払う必要があるが、21.95ドルを支払うと1年間無制限にアイテムを売ることができる仕組みになっている。セカンド・ハンド・アイテム売買の取り扱いを行っていないプライベート・スクールでは、あらかじめ学校が年間登録しており、手数料を払わずに売ることができる場合が多い。実際の取引は、売り手と買い手が直接連絡を取り合って個人的に行う。その名の通り、セカンド・ハンドの売買で資源的にも経済的にもサステイナブルで役立つサイトである。

スクール・バンキング・プログラム(School Banking Program)

プライマリー・スクールの子どもたちを対象に、学校で実際に口座開設、預金する経験などを通じて、お金の大切な役割を学ぶことができる銀行と学校が提携するプログラムだ。

同プログラムではまず、学校に銀行業務のサービスがやって来た日に、子どもたちが自分の普通預金口座を開設して、記念品と一緒に封筒の付いた自分の預金手帳を受け取る。毎週決まったスクール・バンキングの日に、自分の預金手帳にお金を入れて定期的に貯金していくことで、基本的なお金の管理の仕方や貯金する習慣を身に着けることができる。預金する合計回数や目標金額を達成すると、縄跳びや文房具などの賞品がもらえる特典もあり、子どもたちが楽しみながらお金の観念を学ぶことができる貴重なプログラムである。

また、スクール・バンキングでは通常、学校の父兄らがボランティアで運営の補佐を行い、学校側は子どもたちの口座開設や預金回数に伴い、銀行から手数料を得ることができるファンドレイジングの役割も担っている。


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