2016年7月 ニュース/総合

連邦選挙を7月2日に実施すると発表したマルコム・ターンブル首相(Photo: AFP)
連邦選挙を7月2日に実施すると発表したマルコム・ターンブル首相(Photo: AFP)

わずかな差争う接戦に

与党保守連合は支持率伸びず−連邦選挙

7月2日投票の連邦選挙は、2大政党がわずかな議席差を争う接戦になりそうだ。投票まで約1カ月を切った6月初旬の時点で、マルコム・ターンブル首相(自由党党首)の与党保守連合(自由党、国民党)は、一定の議席を失いつつも政権を維持する可能性が残されている。ただ、主要紙の分析によると、与党が下院(定数150議席)で第1党は維持するものの過半数に満たない「ハング・パーラメント」になるか、野党第1党の労働党(ビル・ショーテン党首)が小差で政権を奪回する可能性もある。

今年に入って低下傾向が続いている与党の支持率は、選挙戦に入ってからも回復していない。与党の再選は盤石ではなく、議席の減少幅が勝敗を左右する。投票まで1カ月を切った6月上旬の時点で主要メディアは、少数与党または政権交代もありえると分析している。

全国紙「オーストラリアン」6月6日付が掲載したニューズポールの世論調査によると、選挙結果より近いとされる2大政党別支持率は、保守連合が50%と前回5月23日付の調査と比較して1ポイント上昇、労働党が50%と同1ポイント低下し、五分五分となった。

同紙は、投票が同日実施された場合、13年の前回選挙と比較した保守連合から労働党への「スイング」(政党間の得票率の増減)はプラス3.6%と分析。この数字を元に、保守連合は前回選挙比で14議席を失って74議席、労働党は14議席増やして71議席、無所属など「その他」は5議席(前回と同じ)と予想した。この通りになれば、与党はかろうじて第1党を維持して少数政権を樹立するものの過半数を下回り、ハング・パーラメントの下できわめて不安定な政権運営を強いられることになる。

一方、6月3日付の地方紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」が伝えたフェアファクス・イプソスの世論調査(5月31日〜6月2日実施)によると、2大政党別支持率は保守連合が49%(5月17日〜19日実施の前回調査から2ポイント低下)、労働党が51%(2ポイント上昇)となった。同紙は「仮に選挙結果がこの通りになれば、(保守連合から労働党への)スイングはプラス4.5%と非常に大きくなり、保守連合は(前回選挙比で)最大23議席を失って野党に転落するだろう」と指摘した。

与党は法人減税、野党は医療に重点

与野党の政策をひと言で言えば、中道右派の保守連合は法人減税で経済を活性化させて雇用を促進する「経済成長による冨の再配分」、中道左派の中道労働党は福祉や教育への支出を増やして格差を縮める「財政支出による冨の再配分」だ。

「第3極」の一角として2大政党に不満を持つ層の支持を取り込んでいるニック・ゼノフォン氏
「第3極」の一角として2大政党に不満を持つ層の支持を取り込んでいるニック・ゼノフォン氏

保守連合は、資源ブーム後の経済成長と豊かさの持続、雇用の拡大、健全な財政など、経済を全面に押し出して再選を訴えている。

一方、労働党は医療や教育への歳出増などを公約し、13年以来3年ぶりの政権交代を目指す。ショーテン氏は今回の選挙を「医療(政策)をめぐる国民投票だ」と位置付ける。労働党は政権を奪回すれば、医師に支払うメディケア(国民健康保険)給付金の増額に24億ドルを支出すると発表した。処方薬に対する政府の補助金も9億7,100万ドルをかけて増額するとして、国民の医療費負担の軽減を主張している。

5月29日に実施された第1回目のテレビの党首討論では、ターンブル氏が「労働党には経済成長と雇用(創出)に向けたプランがない。古い労働党と同じで、財政支出しか考えていない」と指摘した。対するショーテン氏は「自由党こそ古い体質そのものだ。大企業に減税しても、その他の国民には恩恵が全くない」と反論した。

とはいえ、2大政党は選挙結果を左右する無党派層の人気取りを意識せざるを得ない。個別の政策では大きな対立軸が見えにくく、選挙はリーダーの人気投票という要素が強まっている。ただ、ターンブル氏、ショーテン氏ともに、強いカリスマ性があるとは言えない。浮動票の「どちらがましか」という消去法的な投票行動が、勝敗を決めることになりそうだ。

与野党の主な政策

保守連合 労働党
税制 ●小規模事業者に対する法人税減税。小規模事業者の認定要件の拡大。 ●政権の法人税減税策を批判。中止すれば、500億ドル節約できると主張。
●ネガティブ・ギアリング(住宅投資に対する優遇税制)を維持。 ●ネガティブ・ギアリング規制強化。投資物件のキャピタル・ゲイン税優遇措置縮小。
医療 ●一般開業医に対するメディケア給付金引き上げ凍結策の維持。 ●総額24億ドルを投じ、同給付金を増額。処方薬への補助金も引き上げ。
教育 ●反発を招いた大学授業料の規制緩和策を撤回。 ●10年間で370億ドルを投じ、教師の訓練、障がい者教育への支出拡大など。
環境 ●温室効果ガス排出量を2030年までに05年レベルの26〜28%に削減。 ●排出量を2030年までに05年レベルの45%に削減。50年に純排出量をゼロに。

改選前の連邦下院の議席数

与党 保守連合 自由党 58 90
クイーンズランド自由国民党 22
国民党 9
地方自由党 1
野党 労働党 55
その他 グリーンズ(緑の党) 1 5
カッターのオーストラリア党 1
パーマー・ユナイテッド党 1
無所属 2
合計 150

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