2014年9月 ニュース/総合


イラク問題についての協議でロンドンを訪れたトニー・アボット首相(Photo:AFP)

豪軍、イラクで人道支援活動

軍事攻撃の可能性排除せず

過激組織「イスラム国」(IS)の進撃で情勢が緊迫しているイラクに、豪州は人道支援のため軍を限定的に投入する。トニー・アボット首相が8月13日、訪問先のロンドンで表明した。同日付の公共放送ABC(電子版)が伝えた。

首相は「現時点では、ISによる殺りくから数千人(の民間人)を開放する人道支援作戦だ」と述べた。豪軍の輸送機C130(ヘラクレス)を派遣して、クルド系ヤジディ教徒に対する米・英の支援物資投下作戦に参加するもようだ。豪州は米・英などとともに2003年にイラクに侵攻、09年に撤退した経緯がある。

イスラム教スンニ派のISは、対立する同シーア派やキリスト教などの異教徒に改宗を強要、拒否した者の殺害や女性・子どもの拉致を繰り返しているとされる。ヤジディ教徒にも激しい攻撃を加えていて、国連によると約3万人のヤジディ教徒がイラク北部シンジャル山に包囲され「大量虐殺の危機に直面している」という。空からの水や食糧の補給、避難ルートの確保を進めるクルド人治安部隊への支援が急務とされる。

ただ、首相とジョンストン国防相は軍事攻撃の可能性を否定していない。8日に空爆を開始した米国、支援物資の投下を行っている英国とともに、豪州が混迷するイラク情勢にどこまで関与するのかは見通せない。このため、軍事攻撃に否定的な野党労働党からは「政府の計画と意図を完全に明らかにするべきだ」(ボーウェン下院議員)との声が出ている。


政権支持率に回復の兆し
マレーシア機墜落事件対応、好評価か

低迷していたアボット政権への支持率に、回復の兆しが出てきている。8月12日付の全国紙「オーストラリアン」が伝えた調査会社ニューズポールの世論調査によると、各党別支持率は与党保守連合(自由党、国民党)が40%と7月末の前回調査と比較して4ポイント上昇した一方、最大野党労働党は34%と2ポイント下落した。

同調査では、アボット政権の支持率は昨年9月の政権発足以降、低下傾向が続いていた。特に予算案を発表した今年5月以降、緊縮財政への反発を背景に各党別支持率で30%台まで落ち込み、ほとんどの調査で労働党の支持率を下回っていた。

また、実際の選挙結果に近い2大政党別支持率では、保守連合が48%(2ポイント上昇)、労働党が52%(2ポイント下落)だった。与党が依然として野党にリードを許しているものの、その差は6月末の10ポイントから4ポイントまで縮小した。2大政党党首別の人気の指標となる「どちらが首相にふさわしいか」の問いでは、アボット首相と答えた回答者が41%と3ポイント上昇、労働党のショーテン党首は37%と1ポイント下落した。

この設問では、アボット氏が首相にふさわしいと答えた人の割合は6月末の34%から7ポイント上昇した。オーストラリアンは、こうした支持率回復傾向の背景に、マレーシア機撃墜事件へのアボット首相の敏速な対応への評価があるとの見方を伝えている。

同事件でオーストラリアは国別で3番目に多い27人の犠牲者を出した。アボット首相は事故直後から、同機を撃墜した可能性が指摘されているウクライナ東部の武装勢力の背後にいるとされるロシアを厳しく非難。最多の犠牲者を出したオランダなどとともに、武装した警官や兵士を含む治安要員を現地に派遣した。オランダを訪れた首相は11日、犠牲者の遺体回収作業などに従事している豪警察・国防軍兵士ら約500人を激励した。

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