第63回 QLD 着実

 

第63回 着実

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


寡黙な男は、ピッチでも与えられた役目を確実に全うして全幅の信頼を勝ち得た(Photo: Albert Perez)

豪州各地で、多くの日本人選手が活躍した2015年シーズンが終わった。所属クラブの成績や個人成績などを鑑みて、日本人選手の“MVP”級の活躍を見せたのが、NPLQ(QLD州1部、豪2部相当)のモートンベイ・ユナイテッドでプレーした中岡涼太(26)だ。

彼の所属するモートンベイは、NPLQのレギュラー・シーズンとファイナル・シリーズの2冠の完全制覇で今季の“QLD州王者”に輝いた。FFA杯は、全国ラウンドの前で敗退したものの、NPL王者が集うナショナル・ファイナル・シリーズでは、NSW州王者に悔しい敗戦を喫しながらも、十分な存在感は発揮した。

それだけではない。中岡は、今季の公式戦のすべてに先発出場。そのほとんどの試合ではフル出場というタフネスぶりを見せた。しかも、全試合で今季からコンバートされた今まで経験がない左サイド・バックでプレーしながら、クラブの躍進に大きく貢献してみせたのだ。

中岡は、豪州3季目を迎えるにあたって、1つのはっきりとした目標を定めていた。その目標とは、「結果(=タイトル)にこだわる」という、実にシンプルなものだった。昨季5位に甘んじたクラブへの残留、予期せぬコンバートへの挑戦、さらには、セミプロである自らの生活費を稼ぐためのバイト先の決定に至るまで、すべては、究極目標である「タイトル獲得」にプラスになるかどうかが判断基準だった。そんなストイックなまでのアプローチが、目標達成の近道になると信じて実行し続けた結果、大きな成果を得ることができた。

来豪前、大学(関西大)、社会人(FC大阪)と所属先で思ったようなプレー機会に恵まれなかった。その間、米国、スペインにチャンスを求めて渡ったこともあったが、そこでも思い描いたようなチャンスをつかめなかった。そして、流れ着いた豪州、その3季目、最後のシーズンで大仕事をやってのけたのだ。「クラブ(モートンU)からは今季終了直後、残留オファーをもらった」と語るように、このまま、豪州に残って挑戦を続けるという選択肢はなかったのか。「今季、ここ(豪州)できちんとした結果を出したからには、さらなる挑戦で自分を高めたい」と、既に新たな歩みを着実に始めている中岡。3年間の豪州でのプレーで得た自信を携え、まずは一旦帰国。用意万端を整えてから、次なる挑戦が待つ国へと飛ぶ。

豪州経由欧州行——次なる着実な進歩と目標達成の朗報を遠くダウン・アンダーの地で待つことにしたい。


【うえまつの独り言】
Aリーグが開幕した。QLD州の期待を一身に背負うブリスベン・ロアも、WSW相手にアウェーでの3得点の快勝で新しいシーズンをスタートさせることができた。オフのさまざまな騒動を忘れさせるような快進撃を見せてもらいたい。当稿でもロア、積極的に推していきたい。

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