日豪サッカー新時代(QLD)第75回「自信」

日豪サッカー新時代

第75回 自信
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

余裕の表情でチームフォト撮影を待つロビー・クルーズ(左)とマーク・ミリガン(筆者撮影)
余裕の表情でチームフォト撮影を待つロビー・クルーズ(左)とマーク・ミリガン(筆者撮影)

決戦の地メルボルンにいる。寒い。風が強いので体感はクイーンズランドの冬。しかも、試合開催日に向けさらに冷え込むらしい。夏と見紛うような陽気のブリスベンからだと、この気温差はこたえる。そう考えれば、サッカルーズは灼熱のサウジから。日本は移動と気候順化の面では日程的なアドバンテージを得ている。朝に話を聞いたロビー・クルーズも「ホームなのにフェアじゃないよな」とボヤいていたのもうなずける。

10月11日、3年ぶりの日豪戦は、W杯アジア最終予選グループBの両雄が相見える天王山。その取材でメルボルンに飛んできたわけだが、実は、日本代表が前々日練習を行うスタジアムの一角でこの原稿のキーボードを叩いている。

ほんの先ほどまで、眼前では日本代表が簡単なボール回しでウォームアップを行っていた。ふと、目を上げると、その練習が突然打ち切られて、選手たちはミーティングのためにいったん引き上げていった。それから15分以上、時間だけが(待ちぼうけの記者たちにとって)無為に過ぎる。

実は、同じ日の昼下がり、この同じスタジアムではサッカルーズが多くのファンを招き入れての公開練習を行った。和気あいあいとした中でリラックス・モードの選手たちに、決戦を前にしての緊張感は見えない。これは、余裕か慢心か。それは間違いなく前者だろう。

豪州にとって、ホームでグループ最大の難敵を迎え撃つことには違いないが、今までの日豪戦とは状況がかなり違う。今の豪州にはアジア王者としての実績とアジアの強豪ひしめくグループBで首位を走る自信がある。ようは、日本を追いかける立場にはなく、リスペクトはするが、恐れはしないという思いでいる。クルーズも「(日本戦は)間違いなくタフな試合になる。でも怖がる相手ではない、リスペクトをするがきっちり勝ち点は取る」と力強く語った。

ようやく、日本の選手たちが戻ってきて、ランニングを始めた。笑顔はない。その様子からミーティングの内容が激しいものだったと考えるのは想像力の飛躍だろうか。そうこうするうちに、「冒頭15分公開」終了でスタンドから出される。

クルーズは言う。「アジア最強の2チームが最終予選でぶつかるのは素晴らしいこと。誰もが注目するすごい試合になる。そこで、しっかりアジア王者としての威厳を示したいよね」

この稿が公開される頃、その結果は出ている。果たして、読者諸兄は試合の結果に満足できたのだろうか。


【うえまつの独り言】
12年目のAリーグが開幕した。代表ウィークに国内リーグが行われていることに日本のメディアは一様に驚く。Aリーグ所属の代表選手はティム・ケーヒルのみで、その彼も日豪戦の4日後にメルボルン・ダービーを控える。日本の“天敵”は、今回の日豪戦はおとなしくしていてくれただろうか。

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