日豪フットボール新時代(QLD)第106回「功労者」

第106回 功労者
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

すがすがしい表情の引退セレモニーでのマッカイ。また1人、レジェンドがピッチを去った(Photo: Nino Lo Guidice)
すがすがしい表情の引退セレモニーでのマッカイ。また1人、レジェンドがピッチを去った(Photo: Nino Lo Guidice)

今季のブリスベン・ロアは、守備の崩壊、主力のけがの多発などもあり、過去最悪の成績で9位に沈んだ。シーズン途中で退任したジョン・アロイジ前監督に代わって就任したロビー・ファウラー新監督の下で、来る新シーズンに向けての再建が急務だ。そうした状況にあって、シーズン終了を受けて、ロアを退団するのは今季契約選手の半分以上に上る14人。文字通り解体的出直しとなる。

そんな中、今季限りで惜しまれながらピッチを去ったのが、キャプテンを長く務めたマット・マッカイ(36)。今季の低迷に、マッカイはキャプテンとして大きな責任を感じながらプレーを続けた。もはや“野戦病院”と化したチームで、“公称”171センチの小さなユーティリティー・プレーヤーは、CBとして体を張りプレーする試合もあったほどだ。

真っすぐな人間性と小さな体で献身的にピッチを駆け回るプレー・スタイルで、ファンに愛されたマッカイ。地元ブリスベンでプロになり、欧州、アジアでのプレーを経てロアに戻って来た。代表でもユーティリティーぶりを買われてコンスタントに招集を受けて、積み上げたキャップ数は実に59。そのプレーのみならず、マッカイは、今や希少種となったユニフォームの裾をズボンの中にきっちり入れるその着こなしでも知られる。その労を惜しまぬ献身と、小さな体に似合わぬ強烈な存在感でチームを引っ張ったマッカイは、ブリスベンのファンのみならず、多くの人びとから愛された。そのチームへの比類なき献身はすぐに顕彰され、それは引退後即、ブリスベン・ロアの「殿堂」入りを果たしたことにも表れている。

生粋のブリスベンのローカル・ボーイは、地元にできたプロ・クラブの初年度からプレーして、最初のリーグ優勝時にキャプテンを務め、海外挑戦を終えての帰国後もロア一筋。オレンジのユニフォームを愛し、最後もそのユニフォームにキャプテン・マークを巻いて、選手としてのキャリアを全うした。引退後のキャリアは、既にアマチュア・チームを指導しているようで、指導者として歩んで行くものと思われる。そんなロアの最大の功労者でもある彼が育てる“マッカイ2世”と呼ばれるような選手は出てくるのだろうか。そして、いつの日か、スーツ姿の“マティ”がピッチ・サイドに立ち、ロアを指揮する日がやって来るのだろうか――。

何はさておき、お疲れ様、マティ。


【うえまつのひとり言】
ロアと来季の契約を結ばずチームを離れる選手の名前の中に、日系期待の星・カレッティ丈の名前もあった。今季は満足なプレー時間を得られなかったものの、来季はチャンスがより広がりそうな中であえて新天地を探す。Jクラブが興味を示すとも報じられているが、その動向を見守りたい。

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