第39回 NAT 待ち人来たる

 

第39回 待ち人来たる

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


サッカルーズ再建を託されたポスタコグルー、その手腕を発揮できるか(筆者撮影)

10月に入って、豪州にサッカーの季節がやって来た。この国のトップリーグであるAリーグが開幕、しばらくは熱戦が楽しめる。しかも、今年のAリーグは特に新たな大物の加入があったわけではないのに、空前の盛り上がりが観客動員にも表れている。良い兆候だと思う。

FFAのギャロップCEOも「フットボールは豪州一のスポーツになる日も近い」と豪語するが、盛況のスタジアムを見ると、「いつの日か…」という気持ちにはさせられる。

ようやくオジェック前監督の解任が現実のものとなり、W杯への残された8カ月少々の準備は、新監督に委ねられることになった。その新監督はアンジ・ポスタコグルー。直近までメルボルン・ビクトリーの監督を務め、その前のブリスベン・ロア時代には2シーズンにまたがっての36試合無敗という金字塔を打ち立てた誰もが認める現時点での国内最高の監督である。

ギリシャのクラブで短い期間指揮を執ったことがあるとはいえ、基本的には国内でキャリアを積み上げてきたポスタコグルーだが、その手腕は国内外でも評価は高く、数年前には浦和レッズから監督就任の打診があったとかなかったとか…。

いずれにしても、ピム、オジェックと続いた欧州出身監督による「欧州偏重主義」の弊害を打破し、国内の逸材を育てることにも目を配りつつ、長年の懸案である「世代交代」を躊躇なく進めてくれそうなポスタコグルー監督の誕生を、大いに歓迎したい。彼の最初の大仕事は、敢えて実名を挙げないが、何人かのベテラン選手に引導を渡すこと。そして、11月初旬に予定されている同19日に迫る自身の初陣、シドニーでのコスタリカ戦に向けての新生サッカルーズのメンバー発表で、国内の多くのサッカー・ファンに希望を与えることだ。

ポスタコグルーがブリスベンで指揮を執った間、ブリスベンのサポーターはチームの指揮官に絶大な支持を与え、スタンドには“In Ange We Trust(我々はアンジを信じる)”の横断幕を掲げた。今こそ、豪州全土のサッカー・ファンが、手負いのサッカルーズをサポートして、豪州代表としての誇りを取り戻すための後押しをしなければならない。W杯までの残り時間は決して長くはない。しかし、ようやく“待ち人”は来た。来年のブラジルで、サッカルーズが輝けるための準備期間、アンジが何をするのか黙って見守ることにしよう。


【うえまつの独り言】
小野伸二がなかなかフル出場できない。初戦はベンチ・スタート、次は途中交代。監督にしてみれば戦術的な理由なのだろうが、見てる方は非常にもどかしい。小野がフルで出ない結果、2戦連続ドローなんだという気もするし、次節、フル出場で大活躍となりますように。
 

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