第51回 QLD 伝統

 

第51回 伝統

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


今季から刷新されたブリスベン・ロアのクラブ・エンブレム(提供:ブリスベン・ロアFC)

過去数カ月、ブリスベンを中心としたQLD州のローカル・サッカーを取り上げてきた。今月からは、10季目のシーズンが開幕したばかりのAリーグの動向を伝えていきたい。

クイーンズランド州唯一のAリーグ・クラブは、ご存知、ブリスベン・ロア。ファイナル・シリーズを3回制覇(2011/12/14)するなど、近年、目に見えた実績を上げてきた。確実に「市民クラブ」として成長を遂げてきたその存在感は、ブリスベン周辺地域で年を追うごとに高まってきている。

そのロアは、新しいシーズンを迎えるにあたって04年のチーム創設以来、長らく使用してきたクラブの公式エンブレム(筆者注:この国ではcrest<紋章>と呼ぶ)を変更した。これは、2009年にクラブ名を「クィーンズランド・ロアFC」から、現行の「ブリスベン・ロアFC」に変更して以来となるクラブの変化を象徴する出来事だ。

10年前のAリーグ発足に合わせ、ブリスベンにクラブが設立されるまでの過程では、時のローカル・サッカー界で色々な駆け引きや相克があった。結果、オランダ移民系のエスニック・クラブであるブリスベン・ライオンズ(現・ライオンズFC)を中心としたグループにAリーグの参入の道が開けた。そういう背景があるがゆえ、旧エンブレムには、オランダの伝統的なナショナル・カラーであるオレンジとブルーが残った。そこに、QLD州のシンボル・カラーのエンジ色(マルーン)が組み込まれてデザインされたのが、昨季までの旧エンブレムなのだ。

クラブ設立以来10年が過ぎ、ブリスベンのクラブとして確固たる地位を得た今、クラブのオリジナリティをさらに高めたいという意図で実施したのが、今回のエンブレム改定。新しいデザインは、より欧州の伝統的なクラブのものに近づいた印象。かなりデフォルメされたライオンの立ち姿などデザイン自体に関しては、クラブ公式のフェィスブックなどで賛否相半ばしているようだが、エンブレムの変更という試み自体は評価されて然るべきだ。

今季からは、ユニフォームのサプライヤーも変わり、上下オレンジの今までにないデザインになった。そして、過去を振り払うかのように刷新されたエンブレムがそのユニフォームの胸に輝く。10年目のAリーグに新たな一歩を踏み出すロアが、ブリスベンの街クラブとしての伝統をさらに紡いでいけるのか—今季も見守っていきたい。


【うえまつの独り言】
サッカルーズがパッとしない。10日のUAE戦は、久々にロビー・クルーズが出場するなど期待していたが、収穫が無いに等しかった。それでも、試合後に「得るものは多かった」と語るアンジ。11月の日豪戦@大阪は、内容のある試合にしてもらわねば…遠路はるばる参戦予定なので。
 

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