第53回 QLD 時効

 

第53回 時効

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu


昨季、クラブをファイナル制覇に導いたマーヴィーも、シーズン途中で退任した(筆者撮影)

前号で、チーム状態が最悪と書いたブリスベン・ロア。その最悪な状況は、シーズン中の監督解任にまで及んだ。一般的には、シーズン中のこのタイミングでの昨季のAリーグ最優秀監督解任の報は驚きを持って迎えられたようだが、実のところ、筆者はさほど驚かなかった。というのも、ある大きな「情報」に接したことで、こういうこともあるだろうと心の準備ができていた。

その情報とは、何も内部の情報提供者によるリークとか、知己の記者のスクープのおこぼれとかそういった類のものではない。偶然が生んだ貴重な情報だった。

ロアは、ホームの試合翌日、ブリスベン南部の某所でリカバリー・セッションを行うルーティンがある。利用する施設は誰もが簡単に使える公共の施設。そのセッションに途中で姿を見せたマーヴィーは、自ら招聘したアシスタント・コーチのロン・スミスと選手のセッションを見守りながら話を始めた。ここまでなら良くある光景だが、その2人の会話が第3者に筒抜けだったらどうだろう。

その最高機密とも言える内部情報を私の知人が偶然にも、その場で耳にしたのだ。その人物の名誉のために言うが、何も盗み聞きしたわけではなく、2人が彼らが陣取っている場所のすぐ横に後からやってきて、周りを憚らず話し始めたというのが実際のところだ。

さすがに固有名詞は使わなかったが、会話は某「ベテラン選手」を批判するものだったとのこと。チームのトップが、選手たちの様子を遠目に伺いながらも、その中にいるメンバーのことをあけすけに批判する。もちろん彼らにしてみれば、まさか誰かに聞かれているとは思わなかっただろう。しかし、周りに気を配ることもせず、公共の場でそのようなセンシティブな話に及ぶこと自体が、不注意を通り越してアンプロフェッショナルと断ぜざるを得ない。

私の知人はというと、さすがに聞くに堪えかねて最後まで聞かずにその場を去った。しかし、自分が耳にした話を誰かに話したい気はあったので、数日後にことの経緯を私に教えてくれたのだ。とはいえ、私は取材者の末席を汚す身として、自分で得ていない伝聞の「2次情報」をリアルタイムでオープンにするのは憚られた。しかし、当事者のマーヴィー、スミスの両名がともにチームを去った今となれば、もう時効。「壁に耳あり」の情報漏洩の典型的事例として、このネタが晴れて陽の目を見ることになった、というわけ。


【うえまつの独り言】
サッカルーズのポスタコグルー監督が、アジアカップの代表候補46人を発表。大きなサプライズは無かったが、ケガが癒えたばかりのジョッシュ・ケネディ、Aで絶好調のネイサン・バーンズを選ぶなどケーヒルに続くFWの適任者探しは続く模様。

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