サーフィンの時代が大きく変わる!Quicksilver & Roxy Pro 2017

カノア五十嵐の日本人離れした体格から放たれる鋭いリップ・アクション!
カノア五十嵐の日本人離れした体格から放たれる鋭いリップ・アクション!

ゴールドコーストを皮切りにワールド・サーフィン・リーグ(WSL)の全11戦が幕を開ける。今年もまたやってくる、あの感動のヒートの数々。海が動き、その波面を世界の精鋭のプロ・サーファーたちが滑り抜けていく。今大会、王座に輝くサーファーは波を熟知したベテラン・サーファーか、または新たなニュー・サーフ・ヒーローの出現となるか? その躍動と空気感は、現場でしか感じることはできないはずだ。 ( 写真・文=yasu kakurai )

黄金に輝く沿岸が世界の舞台!

ワールド・サーフィン・リーグ(WSL)の開幕戦が行われる真夏のゴールドコーストは、いつも以上に熱くなる。開催地となるクーランガッタは、世界的にも見事なビーチ・ブレイクの波が押し寄せることで有名な場所だ。メイン・ポイントとなるスナッパー・ロックスの波は、岩の奥から岸に向けてスピードのある波がコンスタントに現れる。その波は、うねり、風向き、海底の砂の付き方などで大きく表情を変える。小ぶりであっても、湾の形に沿ってきらきらと光るきれいな波がやってくる。また、さまざまな自然環境が完璧にそろった日には、美しい波が次から次へと連なり、その風景は海の鼓動を感じさせる。

黄金に輝く砂浜には、世界中から観客が足を運び、熱いヒートに歓喜の声が飛び交う
黄金に輝く砂浜には、世界中から観客が足を運び、熱いヒートに歓喜の声が飛び交う

クーランガッタは、日本人のみならず、世界中のサーファーが憧れるサーフ・ポイント。1年を通し、スナッパー・ロックスの波を待ち望むサーファーたちはボードを抱え、波の動きを観察し、岩から海へと次々にダイブしていく。そして3月、この世界的に注目のサーフ・ポイントに、一般のサーファー、コンペティションには参戦していないが有名なフリー・サーファー、チャンピオンシップ・ツアー(CT)に参戦するエリート・サーファーたちが一挙に集うのだ。

最高の舞台に選ばれし精鋭たち

WSLのCTに参戦するということは、それ自体が決して簡単なことではない。前年に行われたツアー通算成績の上位22人と、その2部リーグに位置するクオリファイング・シリーズ(QS)上位10人、そしてワイルド・カードの2人を加えた世界中のサーファーの中で、たった34人しか戦うことを許されない大会だからだ。そして、その34人が1年間のコンペティションを競い合い、グランド・チャンピオンを決定するのである。世界各国を飛び回り、有名なサーフ・ポイントで11戦が行われる長期戦なのだから、サーファーには心身共に高いコンディションの維持が要求される。

毎年、岩の上からディジュリドゥの音色と共に海の神に祈りが捧げられる
毎年、岩の上からディジュリドゥの音色と共に海の神に祈りが捧げられる

また、サーフィンの技術と情熱だけでは、この長い戦いを勝ち抜くことができない。サーファーには自然の波をよく察知することと、より条件の良い波を相手から奪うために駆け引きする能力が求められる。その上で、自分がつかんだその波を確実にメイクしなければ高得点を取ることはできない。

大会であるためもちろんルールが存在し、それを理解した上で大会を観てみれば1戦30分間がハラハラ・ドキドキのドラマとなるだろう。自分の好きな選手や応援したい選手と出会えれば、サーフィンは観戦しても楽しい競技になるはずだ。

目が離せないカノア五十嵐

優しい笑顔のカノア五十嵐だが、海に向かう前の表情はとても勇ましく頼もしい
優しい笑顔のカノア五十嵐だが、海に向かう前の表情はとても勇ましく頼もしい

2016年はサーフィンの歴史の中でも大きな出来事があった。それは、日本人サーファー・カノア五十嵐(18歳)がCT参戦を果たしたことである。注目されたのは年齢ではなく、彼のCT参戦が日本人として初めての快挙だったからだ。日本人にはまだまだ辿り付くことが困難と言われていた舞台に、カノア五十嵐は辿り着いて見せたのだ。しかも、CT最終戦ビラボン・パイプ・マスターズ・ハワイでは、ルーキーながら準優勝を成し遂げた。結果的に16年の通算成績は初参戦にてCTランキング20位で締めくくり、今年のツアー参戦権を獲得している。このカノア五十嵐の偉業は「日本人でも世界で互角に戦うことができる」ということを証明し、これから世界を目指す多くの日本人サーファーに希望を与えたことは間違いない。

また、サーフィンが20年東京五輪の競技種目に正式決定したことを受け、カノア五十嵐には日本人としての五輪出場に大きな期待が寄せられている。しかし、日本人の両親を持ちながらアメリカで生まれ育った本人は、アメリカ国籍も併せ持っている。3年後の東京五輪にどちらの国籍で臨むのかは今のところ分からないが、カノア五十嵐は未知数の力を秘めた日本のホープとして目が離せない存在だ。

新旧勢力が入り乱れる混戦となるか?

昨年のQSランク首位を勝ち取ったコナー・オレアリー(オーストラリア)は、日本人の母とオーストラリア人の父を持ち、波を滑り抜け空中へ飛び抜けるエアの技を得意とするサーファー。QS選手からCT選手としてメディアに登場する彼のサーフィンも今回の大きな見どころの1つである。

更にQSランク2位に付けるイーサン・ユーイング(オーストラリア)も今年のCT選手として登場する。18歳という年齢でありながら、安定感とキレのある彼のサーフィンは注目のポイントだ。

名実共に王者の貫禄のケリー・スレーター、今年のツアーをどう戦うのか?
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16年グランド・チャンピオンのジョン・ジョン・フローレンス。勢いはまだまだこれからの予感
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そしてもう1人、名を挙げておきたいのが、ハワイ出身でカノア五十嵐と同じクイック・シルバー・ライダーのイズキール・ラウだ。パワフルでダイナミックなサーフィンに定評があり、カノア五十嵐との友人対決が実現するとなれば面白そうである。17年のCTには、他にも5人のツアー・ルーキーが参戦するため、若手選手たちがどのような台風の目となり大会を盛り上げるか楽しみである。

一方で、時代を築き上げてきた大会の常連選手だったタジ・バロウ(オーストラリア)が、昨年を最後に現役を退き、オーウェン・ライト(オーストラリア)やビード・ダービッジ(オーストラリア)がけがでの欠場と、いろいろな動きのあった昨年の大会。

そして今年は、いよいよ王者として活躍し続けてきたケリー・スレーター(アメリカ)が最後のCT参戦ではないのかなどともささやかれている。しかし、ケリーと同時代の先駆者ミック・ファニング(オーストラリア)やジョエル・パーキンソン(オーストラリア)も未だ衰えを見せないサーフィンを繰り広げている。

また、今年も気になるのが、昨年のグランド・チャンピオンとなったジョン・ジョン・フローレンス(ハワイ)だ。ハワイ出身である彼のビッグ・ウェーブのメイクの仕方は圧巻そのもので、観る者全てを驚かせるサーフィンを披露してくれる。クールな装いとシャイな人柄もまた彼の大きな魅力で、人気はこれからも続いていくことだろう。

新世代のニュー・サーフ・スタイルとレジェンドたちの豪快な技、新旧勢力がぶつかる構図に今大会は大番狂わせが起こりそうな雰囲気を感じる。新しい顔ぶれのヒートを多く観ることができそうな点にも期待が高まる。世界中から選ばれたトップ・サーファーたちのアーティスティックな技の数々、海岸を埋め尽くすオーディエンスのどよめき、イベント・ブースのにぎわいと共に、混戦を極めるであろう今大会がとても待ち遠しい。

2017 WSL Samsung Galaxy Championship Tour
Quiksilver & Roxy Pro 2017

■開催地:スナッパー・ロックス・クーランガッタ・ゴールドコースト
■日程:3月14日(火)~25日(土)
■Web: www.worldsurfleague.com
※波のコンディションなどによりキラ・ビーチなどへ会場変更あり、詳細はウェブサイトで確認。
※チケット不要、駐車場はパブリック・パークを使用。

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